キャンプを通じて、食育を考える。『キャンプの作法~6月号より』

2019年6月19日

キャンプ場関係者に聞いたところ、夏が暑すぎるとあって、キャンプシーズンが春や秋に分散傾向にあるのだとか。私自身も、過ごしやすくて、日照時間の長い春から初夏にかけてのキャンプが好きです。そんな絶好のシーズンの訪れとともに、キャンプに出掛けてきました。今回はスペインをイメージしたキャンプ。海沿いのキャンプ場ということもあり、新鮮なエビを使ったタパスにも挑戦しています。ヘンシュウチョー、彩りのいい料理なんだから、今回はカラーページでお願いしますよ~。と冗談はさておき、今回はキャンプと食にまつわるお話をご紹介します。

スペイン風のキャンプなので、スペイン産オリーブオイルやサングリアなどを揃えています。

10年くらい前からでしょうか、世間で「食育」という言葉が使われるようになりました。食は生活の基盤であることから、健全な食生活のできる人を育てるのが食育。農林水産省もこれを推進しています。調理体験をすることで、健全な食生活への関心を高めるだけではなく、よりコミュニケーションを深めるきかっけにもなるというのが、私の考え。そのための場として、キャンプはまさにうってつけです。私のキャンプでは、さまざまな海外の料理を作ります。大人にとってもキャンプが海外の食生活、文化風習について学べる場になるのです。これもいわば食育。子どもと一緒のキャンプで「食育」を実践する場合、準備が必要です。現地で突然、調理を手伝わせると順応できない子もいるでしょう。出かける前から、一緒に調理本や調理動画を見て、「今度はこれを作るよ」、「キミが手伝わないと完成しないから頑張ってよ」と興味を持たせ、役割を自覚してもらう時間を設ける必要があります。これは調理に限らず、キャンプの設営や焚き火の準備なども同じです。大人だって慣れないことには心の準備が必要なのですから、子どもはなおのこと。また、いまでは年中食べられる野菜にも本来は旬があることや、地域の特産品などについて話すと、調理・食材を通じて、さらによい食育になるのではないでしょうか。キャンプ体験で、子どもの自立心を養おうとお考えの親御さんは多いはず。一方で、キャンプは往々にして大人が主導して、なんでも決めてしまいがちです。前もって調理を含め、工程について、親子で話し合う機会を持っておくと、よりキャンプが楽しめるに違いありません。そんな視点で、キャンプの食についても、今までと違う親子でのアプローチにトライしてみてはいかがでしょうか。

ガーリックとオリーブオイル、塩で調理した、スペイン風のエビ料理。事前にスペイン人シェフの調理動画を見て、これも食育かなと思ってみたり。

コラムニスト紹介:ビューティフルキャンピング(ペンネーム&活動名)

ファッション誌、ファッション広告を中心に編集・執筆を行う。2011年春から、キャンプ空間をスタイリッシュに演出する楽しみ方「ビューティフルキャンピング」を広めようと活動中。

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(オートキャンプ 2019年6月号 『キャンプの作法』より転載)
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