
こんにちは。群馬県の北軽井沢にある「-be-北軽井沢キャンプフィールド」の佐久間と申します。
若かりし頃、日用品メーカーでサラリーマンをしていましたが、キャンプの世界で飯を食っていきたいと一念発起。いつか自分のキャンプ場をやりたいと夢を抱いていました。それが念願叶い、2023年4月、無事にキャンプ場をオープン。日々、奮闘しながら、1組1組キャンパーさんをお迎えし、キャンプを楽しむ場を提供しています。
前回から2回に分けてキャンプ場についてのコラムを書かせていただく機会をもらい、前編は夢だったキャンプ場経営を実現して感じたことを書きました。後編は、キャンパーさんに選ばれるキャンプ場になるために、これからどうしていこうとしているのかについてです。
通ってくれるキャンパーさんのありがたさ

自分がキャンプへいくとき。過去に遊びに行ったキャンプ場にいくこともあれば、新しいキャンプ場へ行くこともあります。それはその時々の目的によって変えたりします。
オープンから2年が経ち、複数回beを利用してくださるキャンパーさんが増えてきました。いわゆる「常連さん」です。常連客というのは、キャンプ場経営に限らず、多くの業態にとってありがたい存在ですが、このありがたみを痛感している今です。
毎週のように遊びに来てくれる人、連休の度に予約をしてくれる人、夏になると連泊してくれる人など、その頻度は人によってそれぞれですが、他にもたくさんキャンプ場がある中で、また来てくださるその気持ちをとても嬉しく思います。
チェックインの時に交わす「先週ぶりですね(笑)」という、ちょっと恥ずかしさも含みつつの会話のはじまり。シーズン営業が終わりに近づくにつれ増えていく「また来年もよろしくお願いします」というしばしご来場いただけなくなる別れの挨拶も、お互いの顔がわかるからこそ生まれるキャンパーさんとのコミュニケーション。まだキャンプ場経営をはじめて2年目だからこそ、来週も、次の連休も、来年も来てもらえることのありがたみが強烈に心に残り、それは次へとつながるエネルギーに変わっていきます。
何度も通いたくなるようなキャンプ場へ。どうやったら多くのキャンパーさんに選ばれ好んで利用してもらえるのか、それを考え続ける毎日です。
選ばれるキャンプ場になるために

このコラムを執筆しているのは2025年の1月です。年末年始の営業を終え、キャンプ場は冬季休業(北軽井沢、冬はマイナス15度にもなるので!)となります。
この冬の期間は、HPの改修やサービスの改善のための下準備、売店で販売するアイテム選びのためにメーカーの展示会に行ったりと、実は地味にやることがたくさんあります。それに加え、来年以降のキャンプ場の運営方針を考える時間にも当てられます。
「キャンプ場」という場はこれから、どこへ向かっていくのか。コロナ禍でたくさんのキャンプ場がオープンし、新興メーカーも誕生、ユーザーは選択肢が増えました。しかしながら、その勢いも少し落ち着きをみせ始めた今、これからキャンプ場はどうなっていくのか。その行き先の全体像も想像しながら、自分のキャンプ場はどういう立ち位置でいるべきなのかを考えています。
ここ数年は、景色のいいキャンプ場がとても人気を得ています。これからキャンプ場を始めようと考えている人がいるとすれば、「どんな景色が楽しめるのか」その立地の優位性は十分検討しなければいけない要素だと思います。
一方、絶景のようなアイコンになるものが少ないキャンプ場(beも含みます)はどうしていったらいいのでしょうか。
僕が思うに、新しい発見や他ではできない体験ができるなどの特色や優位性がより必要になってくるのではないかと考えています。他の成功事例を単純に真似するのではなく参考にしながらもオリジナリティのある場所へ。独自のイベントをやったり、地域の特色をいかして空間作りをしたり。その方法はさまざまあると思いますし、キャンプ場のある地域・歴史や、スタッフの人的リソースによっても変わるかと思います。

beは、北軽井沢という自然豊かな環境、地域とキャンプとを結びつけ、一味違った遊びの世界へとキャンパーさんを誘いたいと考えています。その始まりとして、2024年は、北軽井沢に誕生した北軽井沢蒸留所というウィスキーメーカーさんとコラボさせてもらって、キャンパーさんと一緒にプライベートカスク(オリジナルウィスキー作り)イベントを行いました。ウィスキーの世界は、奥が深く、水や気候、温度変化など、作る環境によって味の変化があります。冬はマイナス15度にもなる気候の中で、味がどうなるのか。そして、前代未聞?キャンプ場で熟成させることでどう変化するのか。いま現在もウィスキーの樽は、キャンプ場で熟成中。1年寝かせたものを2025年に瓶詰めしてご参加いただいたキャンパーさんと一緒に楽しむ予定です。

お酒を通して地域のこと、自然のことを深く知ってもらえる機会になりました。キャンプ場でのbeならではの体験をキャンパーさんに提供したいと考えてこのイベントを企画しましたが、おかげさまで参加いただいたキャンパーさんには、他ではなかなかできないと楽しんでもらえました。2025年は、このウィスキーイベントに加えて、キャンプ場の空き地にミツバチの巣箱をおいて、キャンプ場周辺で採れた蜂蜜を使ったキャンプイベントも計画中です。ミツバチの世界も、地域や自然と密接に関わっていて、面白い世界なのです。
こうやって地域とキャンプを組み合わせ、そこでしか得られない時間をどうやって作っていくのか。それを考えた先に、キャンパーさんに選ばれ続けるキャンプ場があるように思います。

2025年も始まってあっという間に1ヶ月が経ちました。北軽井沢は、まだまだ寒い日が続きますが、1日の終わり、夕暮れ時に日が長くなってきたのを感じる最近です。この寒空でも小鳥たちは元気に飛び回ってます。
来たる春に備えて、いまできる準備を最大限に。来春の営業再開、キャンパーさんとの再会が待ち遠しいです。
プロフィール
佐久間亮介
-be-北軽井沢キャンプフィールド オーナー

脱サラ後、キャンプを仕事にするためにフリーランスに。キャンプ情報のブログ立ち上げ、ライター、モデル、キャンプコーディネーター、イベント企画・運営などを経て、キャンプ場オーナーに。日本オートキャンプ協会公認インストラクターでありつつ、インストラクター向け講習の講師も務めている。著書に、キャンプにまつわる仕事をまとめた本「キャンプ職業案内」(三才ブックス)がある。