発災時に机の下に隠れて落下物から身を守る行動。
これは昔から言われている災害時の防衛行動の一つです。
しかし、海外では「三角形の小さな空間(トライアングルオブライフ)」という概念があることをご存知でしょうか。
これは例えば室内でタンスなどが倒れた際に、倒れ掛かった物体との間に出来る三角形の空間を指します。この空間に身を潜めることにより圧死を防げるというものです。
この三角形の空間を作るものは、例えばベッドであったり、机であったり様々なものがあります。
咄嗟の瞬間に机の下に隠れるのではなく、この空間を探してそこに隠れるというものです。
では、机の下に隠れるのは間違いなのでしょうか。一概にそうとは言い切れません。先ほど三角形の空間についての利点はお伝えしましたが、机の下の利点はなんでしょう。机は真上からの力には強いと考えられます。逆に机の斜め上方向から力が加わると脚が耐え切れずに潰れてしまうかもしれません。
では実際にはどちらの方法が良いのか。
その答えの考え方として、私の先生が学んだネイティブアメリカンの教えがあります。
「どんな情報も否定しない どんな情報も鵜呑みにしない 真実はその人の感覚にのみ存在する」
情報は自分自身が置かれている状況に応じて使い分けるべきである、という考え方です。
この場合の情報とは、「発災時には机の下に隠れる」、「三角形の空間に隠れる」の二通りですが、もしかしたら、もっと沢山の方法があるかもしれません。 「A or B」ではなく「A and B」の考え方で答えを一つに絞らないことです。様々な方法を学んでおくことによって最善の方法を自分自身で見つけることが重要です。先月の投稿にも書きましたが、「非常用持ち出し袋」に入れるアイテムについても1つのアイテムで何通りもの使い方ができるアイテムも自身が使い方を熟知していないと生かせない可能性もあります。キャンプのアイテムもそうですが、自分のアイテムは完全に使いこなせるようになることが色々な使い方に繋がることでしょう。その他にも、
「強さとは柔軟性である」
という教えがあります。危機管理に関しても同様に、
「危機管理は完成しない」
という言葉があります。これはサバイバルや危機管理には「絶対」は存在しないことを意味しています。様々な手段や情報をもっていても、あなたに最適なプランはあなたにしか立てられません。発災時の情報や手段の取り扱いについては柔軟な考え方を以って、その時に必要な方法と情報を選択することが求められます。これまで様々な角度からキャンプと防災についてお話してきましたが、最後には自分の持てるアイテム、知識、情報を駆使して防災に役立てていただきたいと思います。私の投稿が皆様の防災の一助になれば幸いです。
最後になりますが、私の好きなネイティブアメリカンの教えに以下のものがあります。
「その人に狩りの仕方を教えれば、その人とその家族は生き延びることができるだろう
だがもし、その人に狩りの仕方の教え方を教えれば、その人とその部族は生き延びることができるだろう」
これは手段そのものを伝えるだけでなく、手段の教え方を伝えることにより、より多くの人にその手段が伝わっていくという考え方です。私自身も先生から受け継いだ、この教えに賛同して活動しています。
(執筆)
嶋田 嘉人(JAC公認オートキャンプ指導者インストラクター)
嶋田嘉人防災士事務所 代表 JBS認定『ブッシュクラフトインストラクター』、JUSS認定『災害対策インストラクター』、アーバンシラット協会認定『インターミディエートインストラクター』で各種セミナーを開催。普段は外資製薬会社のMRです。副業の個人事業主として活動してい