キャンプに持って行く消火器は何が良い?

2023年1月29日

ここ数年キャンプでの焚き火やバーベキューの火の取り扱い不注意によって大きな山火事になったというニュースを何度も目にしています。異常乾燥注意報が発令されている中では特に火事の危険が有ります。火を使う場合は近くに水をくんだバケツを用意するなどの火災予防が必須。焚き火台などの下にスパッタシートを敷くことで枯れ草などへの延焼も軽減されるので是非お勧めしたい。

私は溶接用と火災時の消化布の業務用の物を使っていますが、最近はアウトドアメーカーからお洒落なデザインの物も販売されるようになっています。もしも火災が発生した場合、初期消火が一番大事で、水場から遠くすぐに水をくめない場所で火災が起きた場合、何度も水をくみに行っている間に火の手が大きくなってしまい、自分では手が付けられなくなってしまうこともあります。

アウトドアイベントで消防車が出動する火災を体験

以前イベントで水場から遠い場所で、大きなアメリカンバイクで来ていていたグループが、強風の中でバーベキューをしていて枯れ草に火が点き、慌てて足で踏んだりタオルや服で叩いて消そうとしていましたが、一気に燃え広がり、テニスコートほどの広さに火災が広がった所で、慌てて周りにいた人達が消防署に電話したりしている間に、火災を引き起こした、そのバイクの集団は火災を放置してバイクに乗って逃げて行きました。幸いにもすぐに消防車が来て消火されましたが、もしかしたら大きな山火事になって人が死んでいたかもしれません。

こんな時に消火器があれば早い段階なら火災を未然に防ぐことも出来ると思い、自分が主催するアウトドアイベントには必ず消火器を持参するようにしています。先日いつも持っていく消火器が古くなったので新しい物を購入しました。以前の物は耐用年数5年でしたが今回の物はステンレス容器で10年の耐用年数があります。

アウトドアでの火災につながりやすい3つのケース

  • 事例1 :燻製用に用意した炭火の火の粉がダンボール製の燻製機に飛び火し出火した火災
  • 事例2: バーベキュー中にガスボンベが破裂し出火した火災
  • 事例3 :消火不十分な炭によって、枯草に着火した火災

他にも、ストーブが原因でテントに引火してしまったり、強風で焚火の火の粉が飛んで燃え移ってしまったという事例もあります。そんな時に消火器があると、大きな被害が出る前に消火させることが出来ます。しかし、自然の中で使う訳なので環境にも配慮が必用となります。

■消化器の種類

消火器と言っても、粉末タイプや強化液タイプ、二酸化炭素などの不活性ガスタイプの消火器があります。私はキャンプイベントにも持って行きたいので、消火器メーカーの方に相談して強化液タイプの物にしています。理由はこの後も続けて読んで戴けるとご理解頂けると思います。
消火器の種類にも色々な種類が有り、大きく分けて「粉末系」「水・泡系」「ガス系」の3つの種類があります。

【粉末系消火器】

主に業務用として広い場所で使われることが多く、木材などの普通火災から油や電気火災など幅広く対応可能。万が一粉を吸い込んでしまっても人体に毒性はないで
すが、視界が悪くなったり、むせて呼吸が苦しくなったりする可能性がある。

【水・泡系消火器】

主に一般住宅に使われ、そのほとんどが強化液や中性強化液と呼ばれる液体タイプです。とくに天ぷら油などの油系火災に対しては、高い冷却効果が期待でき、表面の火だけでなく奥で燃えている部分まで液体が浸透して消火できる。

【ガス系消火器】

実態としてはほとんど電気火災(サーバールームなど)に使われ、かなりニッチなので取り扱う方は限られている。

<参考リンク>
消火器の分類と主成分(モリタ宮田工業株式会社)
https://www.moritamiyata.com/about_extinguisher/knowledge/shokaki03.html

どのタイプの消火器がキャンプの時に適しているのか?

どのタイプの物も環境に優しく毒性が低いと説明書には書いてありますが、キャンプで予想される火災には、水・泡系消火器の強化液や中性強化液などの液体タイプがおすすめです。中性強化液タイプの物は炭などの芯にまで浸透して消化するので再発火の危険が減少します。
そして、中性強化液タイプの物は使った後の処理も雨が降れば自然と流れていき、地面に染みこんだとしても環境への心配が少ないことから使った後のことも考えると、中性強化液タイプが適しています。ほぼどんな火災にも対応できて後始末の手間が少ない!

粉末系は安価な物が多いのですが、消化剤の1粒1粒にシリコンのコーティングが施されているため、水に解けず地面などに残りやすいので、土の入れ替えなどの後処理が非常に大変になります。
ガスタイプの物は密閉空間では威力を発揮しますが開放されたアウトドアでは消化能力も低く、ガスが風下に流れたときにそこにいる人達への健康被害が心配になります。

ここ数年の間に続けて駐車場で、二酸化炭素などの不活性ガスタイプの消化設備が誤作動して人が亡くなるという事故がありました。中性強化液タイプの物には、初期消火用にもっと小さな缶スプレータイプのものや、ペットボトルタイプで投げて消火するタイプのものもあるので皆さんもぜひ家庭とキャンプの時の安全のために用意されてはどうでしょうか。


(執筆者プロフィール)
筒井 誠己(JAC公認オートキャンプインストラクター)
写真家、ANGLE Inc.代表、日本ダッチオーブン愛好会会長、NCAJキャンプインストラクター、JBBQA中級バーベキューインストラクター、JBAブッシュクラフター、(一社)日本動画クリエイターズ協会相談役