【連載コラム】「ぼくの学校は世界中」番外記 第2回

2025年5月30日

「ぼくの学校は世界中」番外記 第2回

子連れでキャンピングカーで世界一周、四大陸、50ヶ国、12万キロを走破した雲野さんの物語

旅の予行演習とWORKAWAY

前回の記事で伝えたように、2018年9月に子連れで世界を旅することを決意した。

同年11月には職場に退職の意思を伝え、翌年2019年3月に退職。2000年4月から2019年3月まで続いた消防人生にピリオドを打った。いよいよ旅のはじまりである。

前回は触れなかったが、旅を決断した理由のひとつに、WORKAWAYというサービスの存在があった。

旅人と現地ホストをつなぐマッチングプラットフォームで、旅人は滞在場所と食事の一部または全部を提供してもらう代わりに、1日4〜5時間、週に約20時間、自分のスキルを提供するという仕組みだ。

現在、世界170カ国以上で5万件を超えるホストが登録されている。

WORKAWAYプラットフォーム

提供するスキルは多岐にわたる。農作業、大工仕事、ペンキ塗り、動物の世話、子どもや赤ちゃんのケア、ホステル・ゲストハウスの管理、掃除、Webサイト制作、SNS運用、語学教師など…。

当初は「世界を旅するには莫大な資金が必要」と考えていたが、このサービスの存在を知ったことで、「それほどお金をかけずに世界を回れる方法がある」と気づき、一気に旅へのハードルが下がった。

2019年3月の退職を機に、旅の準備が本格的に始動した。

とはいえ、当時5歳と2歳の幼い子ども2人を連れて、いきなり長期の海外旅に出るのはリスクが高い。そう考えた私は、6月1日の本格出発までの2ヶ月間を「旅の予行演習」にあてることにした。行き先は、九州と四国だ。

熊本城をバックに旧友と数年ぶりに再会
※ 熊本城をバックに旧友と数年ぶりに再会

東京・芝浦港から車を載せたフェリーで福岡・新門司港へ渡り、九州を周遊。旅の後半1カ月は、高知県四万十市でのWORKAWAY滞在を選んだ。

人生初のWORKAWAYは、高知県四万十市のキャンプ場だった。四万十川の河口を見下ろす広大な敷地。そこはまるで異世界だった。

四万十川を見下ろす絶景キャンプ場でWORKAWAY初体験
※ 四万十川を見下ろす絶景キャンプ場でWORKAWAY初体験

チリ、ドイツ、カナダ、フランス、ハワイ…世界中からボランティアスタッフが集まり、多言語が日常的に飛び交っていた。私たち夫婦が担当したのは、キャンプ場の整備や運営補助。

広々とした敷地や宿泊棟は子どもたちの最高の遊び場で、彼らはフレンドリーな外国人たちに囲まれながら、非日常な時間を存分に楽しんでいた。

グランピング整備の手伝い
※ グランピング整備の手伝い

こんな時間が、これからの日常になる。そう思うと、1カ月後に迫った出発がますます楽しみになってきた。

そんなある日の休日、近くのビーチへ遊びに出かけた。そのとき、奇跡のような出会いが待っていた。

次回へつづく——。

多国籍な夕飯後に記念撮影
※ 多国籍な夕飯後に記念撮影

次回予告:

次回、四万十のビーチで起きた”奇跡の出会い”について。

それは私たちの旅に、ひとつの確信をもたらした——。