「ぼくの学校は世界中」番外記 第3回
子連れでキャンピングカーで世界一周、四大陸、50ヶ国、12万キロを走破した雲野さんの物語
2018年9月、世界を旅する決意をしてから、その想いが揺らいだことは一度もなかった。ただ、小さな子ども2人を連れての移動や宿探しには、一抹の不安を抱えていた。旅行中は飛行機、電車、バス、レンタカー、Uber、ホテル、ゲストハウス、Airbnb…大人だけでも大変な手配を、幼い子どもたちと毎回こなすのは、想像するだけで心が重くなった。
そんな不安が一転したのは、2019年5月、旅立ちのわずか1ヶ月前のことだった。予行練習と実体験を兼ねて、私たちは3月から九州・四国を車で巡っていた。すべてが新鮮な体験だったが、特に印象に残ったのは高知県四万十市にあるキャンプ場での滞在だった。そこではドイツ、フランス、カナダ、チリ、アメリカなど、さまざまな国から来たボランティアたちとともに過ごし、英語やスペイン語が飛び交う環境の中でキャンプ場の整備や運営を手伝った。

休日に近くのビーチへ遊びに行ったとき、見覚えのない外国ナンバーのオシャレなバンが一台、海辺に停まっていた。声をかけた相手は、オランダ出身のカップル、RoderickとMarleenだった。すでにその車で3年半もの間、世界を旅しているという話に、私は心を大きく動かされた。「個人でそんな旅ができるのか? 車の登録は? 保険は? 海を越える方法は?」と、次々に質問をぶつけたが、驚きの連続で彼らの回答をはっきり覚えていないくらいだった。

そのとき私が「来月から家族4人で世界を旅しようと思っていて…」と話すと、Roderickはこう言い切った。
「欧米では、家族でキャンピングカー旅をする家庭は珍しくない。どこにいても”帰る場所”があるという安心感は特に子どもたちにとって大きいんだ。」
その言葉が胸に響いた。「これだ!」と直感した。キャンピングカーでの旅こそ、自分が求めていた”子連れの世界一周スタイル”だったのだ。WORKAWAYとの組み合わせで、世界一周は現実になる -そう心の奥で確信した瞬間だった。

この出会いをきっかけに、私たちは旅の具体的な計画を始めた。どの国を巡り、どんなルートを選び、子どもたちにどんな学びを届けるか。未知の世界に向かうその第一歩に、胸は大きく膨らんだ。
旅立ちまで残された時間は、あとわずか1ヶ月。キャンピングカーで世界を旅するという人生最大の挑戦に向けて、心はすでに動き出していた。これから始まる日々がどんな冒険になるのか、そのすべてが楽しみで仕方なかった。
次回予告:
次回はいよいよ旅立ち、初日からハプニングが…