【連載コラム】「ぼくの学校は世界中」番外記 第4回~【子連れ世界一周】カナダ・バンクーバー島ファームステイ|キャンピングカー旅と食育体験記

2025年8月12日

「ぼくの学校は世界中」番外記 第4回

子連れでキャンピングカーで世界一周、四大陸、50ヶ国、12万キロを走破した雲野さんの物語

旅のはじまり

2019年6月1日、私たち家族4人は世界一周の旅に出発した。選んだのは東回りルート、最初の国はカナダ。英語圏で「Workaway」のホストが多いことが決め手だった。キャンピングカーを現地で購入し、北米から南米へ南下していく計画だ。 出発当日、成田空港には家族や友人が見送りに来てくれた。感謝と興奮が入り混じる中、チェックインでまさかのトラブル。カナダ渡航に必要なeTA(電子渡航認証)を確認ミスで取得しておらず、出発10分前にギリギリ搭乗できた。

※ 世界旅へ!2019年6月1日成田空港にて
※ ※ 世界旅へ!2019年6月1日成田空港にて

息子たちにとっては初の海外、初の飛行機。長男5歳、次男2歳。直前で次男がオムツを卒業してくれたのは幸先の良いスタートだった。

バンクーバー島でのファーム生活

最初の「Workaway」はカナダ南西部のバンクーバー島にあるギルバートファミリーのもと。広大な土地に築100年の家、動物たちがのびのびと暮らす夢のような場所だった。
到着初日、緊張していた長男がすぐに現地ホストの子どもたちと遊び始めたことに驚かされた。子ども同士の順応力は本当にすごい。私は芝刈りや薪割り、妻と子どもたちは雑草取りや卵集めなどを手伝った。

※ 2ヶ月間滞在したギルバート家族の家、薪割りが主なタスク。一冬越せる分の薪を割った。
※ 2ヶ月間滞在したギルバート家族の家、薪割りが主なタスク。一冬越せる分の薪を割った。

毎晩の夕食は大きなテーブルを囲み、採れたての野菜や卵を使った料理を楽しむ。日本食を振る舞った日もあり、異文化交流の温かさを感じた。 長男は徐々に自立心を見せ、一人でシャワーを浴びたり、現地の子どもたちに触発されて一人で寝るようになった。ホストファミリーと7時間も留守番できた日には、その成長に胸が熱くなった。

※ 毎晩、家族で食卓を囲む
※ 毎晩、家族で食卓を囲む

命をいただくということ

忘れられない体験となったのは、鶏の屠殺。フィリピン出身の家政婦ロサリタの手ほどきで、私と妻も初めて命をいただく現場を体験した。ナイフを手にした瞬間の躊躇、噴き出す血、息絶えるまでの数秒。命の重みを五感で受け止め、「ありがとう」と「ごめんなさい」が心から湧き上がった。 その夜、子どもたちと「いただきます」の意味について語り合った。「命」と「手間」に感謝すること。それが、食べるという行為の本質なのだと改めて気づかされた。

※ カナダで人生初の屠殺
※ カナダで人生初の屠殺
※ 命をいただく、ということを体感して学ぶ
※ 命をいただく、ということを体感して学ぶ

子どもたちの可能性

2ヶ月の滞在で、子どもたちは英語を少しずつ話し、異文化を体感し、自然と人から多くを学んだ。私たち親が教えることは、意外と少ないのかもしれない。 最終日、庭に記念樹を植え、七面鳥の丸焼きを囲んでホストファミリーと別れを惜しんだ。現地の暮らしそのものを体験させてくれる「Workaway」は、単なる旅以上の価値を与えてくれる。この先も、世界中に“帰れる場所”が増えていくのが楽しみだ。

※ 子どもたちから学ぶことが多いと感じる日々
※ 子どもたちから学ぶことが多いと感じる日々

そして、次の目的地はアラスカ。まだ見ぬ世界が、私たちを待っている。

次回予告:

次回は夏のアラスカ編! サーモンから学ぶ自然の神秘と、その後大きく動かす出会いとは…

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