【連載コラム】「ぼくの学校は世界中」番外記 第5回~【子連れ世界一周】運命的な出会い|アラスカでキャンピングカー購入

2025年9月5日

「ぼくの学校は世界中」番外記 第5回

子連れでキャンピングカーで世界一周、四大陸、50ヶ国、12万キロを走破した雲野さんの物語

奇跡のキャンピングカーとの出会い

カナダ・バンクーバー島での約2ヶ月にわたるファーム暮らしを終え、私たちは次なる旅の地、2ヶ国目のアラスカへと渡った。北米大陸最高峰デナリの麓に広がる小さな街タルキートナを拠点に、いよいよ念願のキャンピングカー探しが始まった。世界一周をやり遂げるには、家族と共に安心して暮らせる「走る家」が必要だった。

※森林火災で運休中のアラスカ鉄道と
※森林火災で運休中のアラスカ鉄道と

しかし現実は簡単ではなかった。予算に合う車はなかなか見つからず、見つけても交渉の途中で売れてしまったり、条件が合わなかったり。アメリカ滞在ビザの期限も迫り、焦りばかりが募っていった。
そんなある日、目に飛び込んできたのがTOYOTA・タンドラの写真だった。黒いボディの力強さに惹かれたが、何よりも心を揺さぶられたのはナンバー「FUH515」それは義父の命日「5月15日」と同じ数字だった。

義父の命日と同じ数字
義父の命日と同じ数字

子連れ世界旅を決断する大きなきっかけとなった義父の死。生前は製菓会社に勤め、原材料の仕入れなどで世界を飛び回っていた旅好きの義父。その命日と同じ数字を刻んだ車と、このタイミングで出会うとは……偶然にしてはできすぎている。義父が「この車で行け」と導いてくれたように思えた。
売主のジェニファーのもとへ向かうと、車は走行距離13万kmほどで、事故歴・故障歴もなし。価格も予算内に収まり、人柄も誠実で安心できた。話は驚くほどスムーズに進み、私たちは迷わずこのタンドラを購入した。

※前オーナーのJennifer
※前オーナーのJennifer

ちなみに、旅行者がアメリカで車を購入するには細かな手続きがある。ここでは割愛するが、興味のある方は私たちの体験をまとめたブログを参考にしてもらいたい。
https://tinyurl.com/r9ky4yva

次に必要だったのはキャンパーだ。しかし条件に合うものはなかなか見つからなかった。そんな中、目に留まったのが「Cache Camper」というアラスカのローカル工房がオーダーメイドで製作したキャンパー。しかも売主は同じ年式・型のタンドラを所有していて、まさにぴったりサイズだった。
内部にはキッチン、冷蔵庫、二口コンロ、クイーンサイズのベッドにシングルベッド2つが備わり、まさに家族で旅をするための理想的な空間だった。使用回数はわずか10回未満で新品同様。老夫婦の売主は「私たちは2人でも狭いと感じた。家族4人なんて信じられない」と言いながらも、快く譲ってくれた。

車とキャンパーを固定するためのパーツやサスペンション強化に加え、ルーフラックやはしごも取り付けた。総額は約350万円とかかったが、悔いはなかった。これ以上の組み合わせには二度と出会えないと確信できた。(2019年9月1ドル=110円)

※キャンピングカー内部の作り
※キャンピングカー内部の作り

数ヶ月間、車がなく苦労した北米での生活。だからこそ、この一台を手に入れた瞬間の喜びは大きかった。夕日に染まるアラスカの道を走りながら、カーステレオから流れるお気に入りの曲に胸が熱くなった。義父の導きのような奇跡と、家族の努力が重なって実現した運命の出会い。この瞬間から、我が家の本当の旅が始まった。

私たち家族の5年にわたるキャンピングカーの冒険は、このタンドラとキャンパーとの奇跡的な出会いから幕を開けた。

※北米大陸最北端のアラスカからキャンピングカー旅をスタート!
※北米大陸最北端のアラスカからキャンピングカー旅をスタート!

次回予告:

次回はカナダ、アメリカを抜けてメキシコ車中泊旅

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