コロンビアから再スタートする南米大陸キャンピングカー旅をお伝えする前に、どうしても書いておきたいことがある。
「キャンピングカーで世界一周なんて、無理でしょ?」
出発前、何度もそう言われた。お金、治安、子どもの教育、車の故障……。不安を挙げればきりがない。実際、冷静に考えれば簡単な挑戦ではなかった。かもしれない。
けれど不思議なことに、“キャンピングカーで旅をする”という選択肢が頭に入った瞬間、私は直感的に思ったのだ。
「あ、これなら家族で世界一周できる」と。
ホテルを転々とする旅ではなく、家ごと動く旅。
それは非日常を積み重ねる旅ではなく、「日常を持ち運ぶ旅」だった。

我が家の相棒は、アラスカで購入したピックアップトラック(2010年製 TOYOTA TUNDRA)にキャンパーを載せた小さな動く家。ベッドやキッチン、電気、水道、ガスもある。限られた空間ではあるが、生活に必要なものはすべて詰まっている。どこにいても、そこが我が家になった。
キャンピングカー旅の最大の魅力は、自由と安心感だ。私はこれを「究極の自由旅」と呼んでいる。
駐車スペースが一台分あれば滞在できる。絶景の湖畔でも、風の強い高原でも、時間に縛られず過ごせる。何より、どこにいても自分たちの"家"と呼べる場所があるという安心感は、子どもたちにとって大きな拠り所になっていた。
経済面でも現実的だった。
基本は自炊。世界各地の市場やスーパーで買った食材を小さなキッチンで調理する。圧力鍋ひとつで高地でもご飯は炊ける。外食を減らすだけで、旅は一気に「特別な人のもの」ではなくなった。

一方で、もちろん楽なことばかりではない。
車のメンテナンスや故障のリスクは避けられない。水・電気・ガスには制限がある。プライベート空間も少なく、時には夫婦喧嘩回避、気分転換のために宿へ泊まることもあった。
それでも思う。不便さは、私たちを強くした。
限られた水でどう暮らすか。最小限の荷物でどう快適にするか。工夫を重ねるうちに、物への執着は自然と薄れていった。狭いからこそ、家族で話し、ぶつかり、向き合った時間も多かった。

キャンピングカー旅は、特別な人の挑戦ではない。
世界一周でなくてもいい。日本一周でも、週末の車中泊でもいい。「家ごと動く」という発想が入った瞬間、人生の自由度は確実に広がる。
そして、海外を車やバイク、自転車で走るなら欠かせないアプリがある。

ひとつは「iOverlander」。
世界中のキャンプ場や野営地、給水所、整備工場、ガス補給地点などの情報が集まる定番アプリだ。実際に利用した旅人のレビューが掲載され、設備や治安の情報まで分かる。無料でここまで情報が得られることに、何度も助けられた。ただしレビューが古い場合もあるため、最終的な判断は現地確認が基本になる。
もうひとつは「maps.me」。
地図を事前にダウンロードしておけば、オフラインでも使用できる。電波の届かない山間部や国境付近で、このアプリに何度救われたか分からない。ナビ機能に加え、スーパーやガソリンスタンドも検索でき、車旅だけでなくバイク旅や自転車旅にも心強い存在だった。
これらを入れておくだけで、安心感と行動範囲は大きく変わる。「無理」と言われた旅は、やってみれば現実になった。
完璧な準備が整っていたわけではない。ただ、選択肢を閉じなかっただけだ。

コロンビアからの再スタートも、きっと予想外の連続だろう。それでも、不安よりもワクワクのほうが勝っていた。次回はエクアドル、ペルーへ。
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