キャンプを仕事にするために必要なことは、得意なこと探しとアクション?

2021年7月15日

みなさま、こんにちは。オートキャンプ協会のインストラクターで、2021年4月に『キャンプ職業案内』という本を出版した佐久間亮介です。このコラムでは、書籍のタイトルにもあるとおり、「キャンプの仕事」について触れていきます。前回は、キャンプにまつわる職種ってどんなものがあるのか?をご紹介しました。今回は、僕がキャンプを仕事にするまでに準備したことや、オートキャンプインストラクターの仕事の話をします。

自分の得意分野を見つけ、キャンプと組み合わせていく

僕は、前職ではメーカーの営業マンをやっていたのですが、その会社を退職しておよそ7年の月日が経ちました。おかげさまでキャンプにまつわる本を執筆させていただく機会に恵まれたのですが、もちろん脱サラ当初から順風満帆にすべてが進んでいたわけではありません。

キャンプを仕事にしようと思って脱サラをした僕は、ブログを開設しました。今では信じられないかもしれませんが、僕がブログを開設した2014年当時は、ウェブ上にキャンプ初心者向けの情報が少なく、「僕のような20代(当時)の人は、何でもウェブで検索をする。キャンプをもっと広めるためには、ウェブ上にキャンプ初心者向けの情報が必要だ!」と思い立ったのです。

(すっかり更新頻度が下がってしまったブログ https://camp-in-japan.com/

ひたすら初心者向けの情報を更新し続けていたある日、ウェブメディアの編集者の方から「ウェブ媒体で記事を書かないか?」という依頼を受けました。こうして僕はウェブメディアで記事を書いて報酬をいただくウェブライターになったわけです。これも、ブログでキャンプについての情報を発信し、編集者の方が僕の文章を読み、依頼するに値すると判断していただけたからだと思います。

僕は昔から本を読むことが好きだったり、文章を書くことにそれほど抵抗がなかったため、ライターという職業は人より向いているのだと感じます。そうやって、自分の得意(あるいは好きなこと)とキャンプを組み合わせていくと仕事につながっていく実感がありますし、書籍で取材をさせていただいた方々の中にも、洋服が昔から好きだったと話すスタイリストの方や絵を書くことが好きだったと話すイラストレーターの方がいました。自分の中の得意分野を探したり、好きなことを追求してそれとキャンプを結びつけていく。もちろん簡単なことではないのですが、それが見えた先には自分が得意とすることでキャンプという遊びを仕事にするチャンスが出てくるはずです。今はYoutubeやInstagramなど発信をすることでそれが仕事につながる時代。チャンスはいろんなところに転がっているはずです。

オートキャンプインストラクターの仕事とは?

次は、オートキャンプインストラクターの仕事の話です。このメルマガを読まれている方の中には、オートキャンプインストラクターの資格をお持ちの方も多いはずですし、実際に資格をいかして仕事につなげたいと考えている人もいらっしゃるかと思います。

まず、オートキャンプインストラクターの仕事とは、簡単にいえば「キャンプの先生」です。多くの場合、キャンプをこれから始めたいと思う人向けにキャンプのルールやマナー、必要な道具、キャンプ場の選び方など、キャンプのイロハを教える仕事です。インストラクターの資格をとった皆様は、こういう仕事をやってみたいから資格をとられた方も多いのでしょうか。

僕は、年に何度かデパートや車のディーラー、生涯学習センターなどから依頼を受けてキャンプ講習の仕事をさせていただく機会があります。その仕事で教える内容は上でお伝えした内容のとおりです。きっと皆さんが講師の立場になっても教える内容の根本は変わらないはずです。なぜならば、キャンプの基本は、劇的に変動するものではないからです。

(小中学生向けのロープワークなどを教える講師の仕事例)

では、そんなキャンプの仕事をどうやったらもらえるようになるのか。僕がクライアント先と話をしていて感じるのは、講師の人の個性・キャラクターが求められているということです。わかりやすく言うならば、講師の人に“箔があるかどうか”、そこがポイントだと感じます。インストラクター歴1年目の人と年間100回(例えばです)キャンプの講習をやっている人がいたとすれば、よほどのことが無い限り、クライアントは後者に依頼するはずです。

僕の場合は、ブログで初心者向けに情報を発信していたことで初心者の目線で伝えられることや「ぜひ若い人にお願いしたかった」と言われることも多々あり、そうやって他の人との違いがあったからこそお声がけいただける機会があったのかと振り返ってみて感じます。

キャンプブームの影響もあって、キャンプ教室の講師の需要は非常に高まってきていると思います。いきなり依頼をもらうのは難しいかもしれませんが、まずは身近にいるキャンプに興味を持っている人に伝えることやよく行くキャンプ場と一緒に講習会を開くなど、何かしらのアクションをしてみて、クライアントに選ばれるための強みを自分の中で作っていく必要があるのだと感じます。

以上、第2回は、僕がキャンプを仕事にするようになるまでの経緯とオートキャンプインストラクターの仕事内容、仕事を得るためのポイントを僕の経験値からお話させていただきました。

最後にちょっとだけお知らせをさせてください。8月11日(水)14:30から、熊本県の阿蘇にあるイデアITカレッジ阿蘇という専門学校で、焚き火を使ったオープンキャンパスを行います。「焚き火でオープンキャンパス?」と驚いた方がいるかもしれませんが、焚き火はコミュニケーションツールです。「普段はなかなか話せなかったことも焚き火を前にしたら話せてしまった」なんて経験がある人もいるのではないでしょうか。そんな焚き火の力を借りたオープンキャンパスです。対象者は専門学校へと入学を希望する学生or社会人とその保護者の方です。「将来の進路に不安や迷いがある」「おもしろい生き方をしたいけど、どうしたらいいかわからない」など、モヤモヤを抱える学生に向けて僕を含む、言ってしまえばちょっと普通と違った生き方をしている大人たちと話をする機会です。ご興味のある方はぜひ、お子さんにお伝えいただければ幸いです。これもある意味、キャンプインストラクターの仕事かもしれませんね。


(執筆者紹介)

佐久間亮介
好きなことを仕事にしようと会社員を1年10カ月で飛び出したのち、日本全国のキャンプ場(合計250カ所以上)を巡る旅を経て、キャンプを仕事にするフリーランサーに(執筆・コーディネート・講演・イベント運営)。月間最高80万PVのキャンプブログ【https://camp-in-japan.com/】を共同運営。テンマクデザインより、ソロ向けロッジ「ガレージテント」発売中。一般社団法人日本オートキャンプ協会・事業委員会委員。


イラスト: 関根千種
書籍:

キャンプ職業案内