キャンプで料理、火元は何使う?あらためて特性と注意点について

2022年6月10日

今回は、キャンプで料理に使う火元について。

料理の出来る熱源の種類は、炭火・焚き火、燃料用アルコール、カセットガス、ホワイトガソリン、灯油等。電源サイトならホットプレートや炊飯器なども選択肢に入るだろうか。今回は前者4つの火器類について、あらためて特性と注意点について紹介していきたい。

  1. 炭火・焚き火
  2. アルコールストーブ
  3. カセットコンロ
  4. ホワイトガソリン

1、癒される炎、炭火・焚き火。

近頃空前の焚き火ブームで、各所から様々な焚き火台が発売されている。デザインも機能も様々で、選ぶのがほんとに楽しい。
私も長らく焚き火台を探していたが、最近ようやく好みのものを見つけて購入し、炭火料理にハマっているところだ。

焚き火は奥が深い。着火するところから一筋縄でいかず、火がついても調理に最適な状態まで焚き火を育てなければならない。その工程が面倒でもあり、楽しくもあるところ。
炎の揺らめきは1/fのゆらぎと言って、とても癒されるものだそうだ。いつまで眺めていても飽きないのはそのせいか。
焚き火のハウツーについてはネット上に情報があふれているので、改めてここで説明する必要もないと思うが、どうしてもお伝えしたいのは火の始末と一酸化炭素中毒について。

バルブを閉めれば消火する燃焼器具と違って、燃え尽きて完全に火が消えるまでにかなりの時間がかかる。火は消えても熾火の状態で長時間燻り続ける。完全に消えるまでの時間を考慮しなければ、撤収の時間になっても高温で片付けが出来ないということになる。ゴミ置き場や草むらに、燻ったままの炭や薪が捨ててあったという話を聞くようになったが、一歩間違えば火事で大変なことになる。

BBQでよく利用される河原では、炭の残りを捨ててあることがあまりに多く、BBQが禁止になったという場所も増えてきている。正しい使い方とマナーを守ることが、楽しくその場所を使い続けるために大事なことだということを、利用するすべての人が肝に銘じてほしい。

そして、密閉した空間で燃やすと一酸化炭素中毒の危険があるので、テント内は厳禁。日本オートキャンプ協会の講習中に、同じキャンプ場内で中毒事故が発生したことがあったが、テント内で炭火を使っていたらしい。その時は幸い軽症で済んだが、最悪の事態になる可能性も高いので、十分に注意しよう。

2、究極のコンパクト、アルコールストーブ

次に、これも近年ソロキャンプのブームと共に利用が増えているアルコールストーブ。
構造が単純で壊れることがなく、非常にコンパクトなことから、ミニマムな装備のキャンパーに好まれている。空き缶で自作することも出来、冬の低温時でも安定して使えるとても頼もしいやつ。
しかし、燃料のアルコールの特製をよく理解して使わないと、火傷や延焼の危険性がある。飲料用のアルコールと違い毒性があるので口にするのは厳禁。直火で食材を焼くのも避けた方がいい。

そして、一番大事なのが、アルコールは非常に引火しやすいということ。プレヒートしないと火がつかない灯油と違って、常温(だいたい10℃くらい)で火がつき、明るいと炎が見えにくい。燃焼中の継ぎ足しは厳禁。足している燃料を火が伝ってくる。炎が見えにくいから、火がついていることに気づかず火傷の危険も。
しかし、正しく使えば便利なものなので、一度きちんと勉強することをお勧めしたい。ゴトクを別に準備する必要があり、風に弱いので風防もあった方がいいだろう。ゴトクや風防を自分なりに工夫するのも、楽しいところだ。

3、国民的ポータブル熱源・カセットコンロ

次は、一番ポピュラーなカセットコンロについて。
カセットコンロは家庭用からキャンプ用の風防のついたものまで、様々なデザインで市販されている。国内のガス検をパスしたものならどれを選んでも問題ないし、機能にも大きな差があるものでもない。ゴトクの幅が広いものが多いので、ソロ用の小さい鍋やシェラカップなどは乗せられないことがある。ゴトクの形状で選んだり、焼き網やバーナーパッドなどを使うといい。
カセットガスは、一般的なCB缶の他に、キャンプ用品メーカーから出ているOD缶と呼ばれるものもある。こちらは器具に合わせて同じメーカーで揃えるのが普通で、各地のホームセンターなどで売っているCB缶と違って、店によって取り扱いがないこともあるので、必要な数を準備して行った方がいいだろう。

カセットガスは使用していると缶がどんどん冷えていく。そのため、気温の低い冬場には気化しにくくなって使えなくなることがある。缶が冷えない様に構造に工夫を凝らしたものや、寒冷地仕様のガス缶を準備しているメーカーなどもあるので、自身のキャンプスタイルに合わせてチョイスしよう。

4、キャンプの王道?ホワイトガソリン

最後は、ホワイトガソリンについて。
ひと昔前は、キャンプといえばホワイトガソリンのツーバーナーがメジャーであった。四角い箱で、フタを開くと風防になり、家庭用ガスコンロの様なゴトクが二つ並んだもの。スタンドに乗せて、ちょうどいい高さに設置出来、広いゴトクは安定して調理ができる。火口が一つのシングルストーブもある。いずれもポンピングで加圧する必要があり、キャンプの儀式のひとつとして古くからの愛用者も多い。

ホワイトガソリンはアルコールよりも低温に強いので、カセットガスが厳しい季節でも安定して使用出来る。
しかし同時に、取り扱いには十分注意が必要である(引火点はアルコールよりも低く、マイナス40℃)。給油やポンピング時には火器厳禁。間違ってもくわえタバコで扱ったりしないように。しっかりポンピングすると、かなりの高火力で使える。構造がシンプルで、自分である程度メンテナンス出来るので、親から譲り受けたものを長く使っているという人もいる。

いずれの火元も、正しく使えば便利なものだが、ひとたび間違うと大変な事故につながる。正しい知識を得て、これから始めたいという人にもきちんと説明できるように心掛けたい、と自分にも常々言い聞かせている。


執筆者紹介:吉田あげは(公認オートキャンプ指導者インストラクター)
キャンプ好きが高じて山にログハウスを建て、ログハウス好きが高じて建築フォトグラファーになる。キャンプと建物探訪を人生の二大柱として、本業そっちのけで活動中。
https://ageha68.com