地酒とキャンプのマリアージュ『女子キャンプ日記~5月号より』

2019年5月9日

今年は岩手県にキャンプに行く。自分が企画するイベントの下見だ。テンマクデザインとコラボをして販売しているPANDAというテントの感謝祭として、「酒と焚き火とPANDA」という小さなイベントを昨年は福島で行い、今年は岩手で開催予定だ。

もともとこのイベントをはじめたのは、キャンプを通してどうにか地域の活性につなげることができないかと思い、その当時とてもハマっていた日本酒に目をつけたのがきっかけだ。「東京では卸されないおいしい地酒は地方にある」そんなことをふと東京の居酒屋で耳にして、わたしはいてもたってもいられなかった。きわめつけは地方で食べられる旬なものや郷土料理などに1番合う酒はやはりその土地の酒だということだった。究極のマリアージュはそこにあるのかもしれない。酒とおいしいおつまみを食べつつ、その土地の自然を感じることができたなら、それはもう至福の時間だ。その土地の自然を楽しむだけでなく食を知り楽しむことは地域の活性に少しでも役立つんじゃないかと思い、このイベントを企画した。

 わたしたちキャンパーは建物や施設に縛られない。時折地方に行くと「遊ぶ施設も何もない場所で..」と謙遜される人がいるけれども、外遊びを知っている人間にとっては海があり山がありきれいな川がある場所はまるで宝石のように見えるのだ。おいしい水はおいしい酒を作る。自然に感謝をしながら飲める地酒はやはりキャンプととても相性がいいと思う。

 そんな想いをひっさげてイベントは少人数に限定して行われたのだが、本当にほっこりとしたいい時間を過ごすことができた。酒とおいしいご飯とおいしい空気は人の時間を幸せにする魔法がある。どうせなら全国各地でこのイベントをしたいと思い今年は岩手に行くことにした。岩手はわたしが生まれた土地でもある。蕎麦屋を営んでいた祖父と祖母の街でもあった。小さいときはなんども訪れたその土地のことをわたしはあまり知らない。北上川を歩いたこともあるけれども、全国や世界の自然を見てきたわたしの目に、あの川は改めて今どう映るのか、どんな自然があるのか、どんなおいしい酒があるのか、ちゃんと向き合ってみたいと思ったのだ。冒頭に述べたようにイベントの下見として、企画のスタッフたちと岩手をめぐる旅をする。観光地だけじゃ見えてこない岩手の自然と本当のおいしさを、見て感じてこようと思う。


コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター

(オートキャンプ 2019年5月号 こいしゆうかの『女子キャンプ日記』より転載)
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