【アウトドア防災】災害時の着替え・保温術に学ぶ “レイヤリング”

2025年11月12日

今回の「アウトドア防災」では、寒い季節の災害時に役立つアイデアをご紹介。いざというときに自分を助けてくれる重ね着のテクニックを、オートキャンプ指導者の丹羽さんに教えていただきます。

キャンナビ読者の皆さんこんにちは。JACインストラクターの丹羽孝之 (にわたかし) です。

先月号ではシュラフ(寝袋)の選び方と使い方についてご紹介しました。今月はアウトドア・アクティビティでのレイヤリング、いわゆる『重ね着』について、防災視点も交えてご紹介したいと思います。

私は登山や沢登り、スキー、バイクツーリングなどそれぞれ40年以上の経験があるのですが、その実体験に基づいてご紹介していきます。現在では様々な繊維が開発されてますので、製品選定についてはベテランの方達それぞれの考え方もあるかと思います。初心者の方は、この記事をレイヤリングの基本的な考え方として参考にしてもらえれば幸いです。では早速本題に入りましょう!

レイヤリングとは?

出典: モンベル社Webサイトのレイヤリングシステム解説

一言で言うと、機能的な重ね着の仕方の事です。

ベースレイヤーは下着の事です。実はこれが一番大事。詳細は後ほど!

そのベースレイヤーにミッドレイヤー、アウターレイヤーと重ね着していくわけです。シーズンに応じて各レイヤーの素材などの選択が変わってくるし、アウターレイヤーが不要なシーズンもある訳です。製品としては登山用の衣類がメインになってきますが、高価なのが難点です…。

ただ、オートキャンプで活用するにはあれやこれや買い揃える必要はありません。まずは下着となるベースレイヤーがあればOK! あとは手持ちの衣類と組み合わせてみてください。

では、順番にご説明します。

1.ベースレイヤー

一番大事な衣類となる下着です。上下2セット持っていれば十分です。どちらも吸汗性と速乾性を持った繊維を使っています。抗菌、防臭機能も備えてます。洗濯機で洗って脱水機にかけたら夏場なら10分もあれば着用できる状態になります。着干しという言葉をご存知ですか?湿っている衣類を着ながら乾かす事を着干しと言うんです。

そうそうこれからのシーズン、発熱保温製品は汗をかくような動きを伴う時は逆効果なので注意してくださいね!

2. ミッドレイヤー

下着の上に着る衣類です。ロンTだったり、フリースだったり、セーターだったり、保温性を担当するレイヤーです。

薄手のダウンジャケットやダウンベストもミッドレイヤーとして位置付けられると思っても良いです。

ちなみに、新聞紙をお腹に巻いても効果大ですよ!ガサガサ言うけど…笑。

3. アウターレイヤー

今ではソフトシェルとかハードシェルとか素材別に言われますが、どちらも一番上に着る衣類を指します。防水性、耐風性と通気性が大事なポイントになります。アウターレイヤーが風を通してしまうと、下に着てるものの保温性が高くても意味がありません。ちなみにレインウェアもこのレイヤーに位置付けられます。

【愛用製品紹介】

長年私が愛用しているのは、モンベルのジオラインとミレーのヤバいやつです(ドライナミック)。ヤバいと言うのは見た目の話ですけどね。うちの娘達はドン引きしてます。ウケ狙いにも良いかも…自己責任でお願いします!笑。

コスパを重視しなければもっと高性能な物もありますがオーバースペックにならないようにしてください。ムダですから…。

大事なポイントは、自分にとってそこまでの性能が必要かってことですね。

モンベル「ジオライン」

出典: モンベル社オンラインストア ジオライン

詳細はURLリンク先(モンベル | オンラインストア | ジオライン(薄手/ライトウエイト))をご覧ください。求められる機能はすべて盛り込まれています!

商品名の後の「L.W.」が一番薄いやつで使いやすいです。

ミレー「ドライナミック」

出典: ミレー社オンラインストア ドライナミック

これが見た目がやばいやつです…。脱いだ後の見た目も…笑。発汗量が多かったり、泳ぐ際にも有効です。商品のURLはこちら

防災視点からの考え方

ここまでで防災観点からもとても有効だと言うことはご理解いただけたかと。

もう少し踏み込んでみましょうかね。ジオラインを前提にしてます。

・何日臭わないか…笑
これって大事ですよね。いわゆる抗菌防臭効果ってやつですね。洗濯できる環境かどうか…。水の少ない環境では洗濯の優先順位は下がります。でも自分が我慢できたとしても、周りの人に不快感を与えてしまうのはさすがに気が引けます。
ただでさえ加齢臭を放出し続けてるジジイですからね……爆。汗の量にもよりますが、三日はいけるかなぁ!?……個人差あり……。

・速乾性
汗をかいたあと、素早く拡散して乾いてくれることが大事。また、ずぶ濡れになった時にも水はけが良いので体温維持できます。綿100%は濡れたら最悪です……。
脱水機の使えない状況でも早く乾くかどうかも大事で、私は旅先で早く乾かしたい時などは手で絞ってからタオルに挟んで足でフミフミします。これ、かなり有効ですよ。実は、仕事の出張時にもやってました。

・UV効果
真夏や高山トレッキングなどでとても助かります。日焼け止めを腕に塗りたくると、落とすのが大変ですから……。

俺流のやり方

現在、私が使っている製品をご紹介しますね。
基本的に冒頭に記載した多くの趣味に共通して活用できる製品を吟味して使っています。各趣味専用の物を買い揃えていたらお金がいくらあっても足りませんからね……。

ベースレイヤーは、モンベルの「ジオライン」の一番薄いタイプ(L.W.)の長袖と足首までのタイツ、太ももまでのニーロングタイツ。これが基本となっています。
ウィンタースポーツでも一番薄いやつが一番使いやすいですよ。意外かもしれませんが、登山でも冬山以外であればこれで十分。沢登り、バイク、釣りなどでも同様です。
最初の一着には、一番薄いL.W.を選ぶと間違いありません。

出典:モンベル公式オンラインストア「ジオライン」

夏山登山などで大量の汗をかくことが想定される時は、ミレーの「ドライナミック」の登場です。
メッシュ構造の下着なのですが、カサがあるためドライナミックの上に着たTシャツなどが肌に触れず、常にドライな着心地を保ってくれます。

出典:ミレー公式オンラインストア「ドライナミック」

ミッドレイヤーとアウターレイヤー

ミッドレイヤーとアウターレイヤーは、その時に応じた選定をしています。
ミッドにはフリース素材の物を、“厚さ”で選定することが多いです。
アウターは色々な選択肢がありますが、荷物を極力減らしたい時はレインウェアを兼用します。

参考情報

出典:モンベル公式サイト「レイヤリングシステム解説」

出典:ファイントラック公式ウェブストア(高価ですが高性能・高機能です)

まとめ

いかがでしたでしょうか?  オートキャンプや車中泊で汎用的に使うのでしたら、これらの登山用の下着を揃えておくのが圧倒的におすすめです。もちろんそれらは防災の観点からも活躍することは間違いありません。下着としては高価ですが普段から毎日使う訳では無いので、私の経験上10年くらいは間違いなく使えます。

まずはベースだけ買ってみてレイヤリングシステムを試してみてはいかがでしょうか? 暑さ寒さの感じ方は個人差も大きいので、自分なりのパターンを見つけ出しましょう!では、また!!

参考
筆者のYouTubeチャンネル:【アウトドアなちゃんねる】
アウトドアなちゃんねる(山小屋セルフビルド・キャンプ・岩魚釣りなど)

山小屋セルフビルド、キャンプ、岩魚釣り、山菜/きのこ採り、ドローン空撮、バイクツーリングなど。
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