【アウトドア防災】被災時にも役立つシュラフ(寝袋)の選び方

2025年10月9日

被災時にも役立つ寝袋の選び方
画像は筆者のモンベル社 ダウンハガー#3 使い回しの効くシュラフです

キャンナビ読者の皆さんこんにちは。JACインストラクターの丹羽孝之です。

先月号で食器の洗い方についてご紹介しましたが、今月は災害時にも活躍するシュラフ/寝袋についてご紹介したいと思います。

私がogawa GRAND lodgeの店頭で、たびたびお客様からご相談を受けるギヤの一つがシュラフです。キャンプ用品を購入する際に、防災用品としての兼用可否を意識している方はとても多いです。睡眠を取る上で、シュラフはとても大事な位置付けになってきます。

初心者キャンパーの方達にはどんな製品を選べば良いのか難しい用品ですね。では早速わかりやすく説明していきたいと思います。

1|シュラフの種類

シュラフの形状には大きく分けて2種類あります。封筒型とマミー型です。それぞれの特徴について説明しますね。

【封筒型】

被災時にも役立つ寝袋の選び方
出典: コールマン社オンラインショップ

名称通りの長方形のシュラフです。ファミリーキャンプに使いやすいエントリーモデルとも言えます。なぜかと言うと、ファスナーを解放すると掛け布団のように使えたり、同製品二つのファスナー同士を接続してダブルサイズにすることもできます。

【マミー型】

被災時にも役立つ寝袋の選び方
出典: ナンガ社オンラインショップより転載

包帯に巻かれたミイラ(mummy)の形のようなので、こう呼ばれています。頭まで覆える形なので、寒い時期には暖気を逃さず暖かく寝ることができます。ただし、慣れないと窮屈に感じるでしょう。ストレッチするように縫製技術で工夫してる製品もあります。収納時のサイズは封筒型に比べるとコンパクトになります。

2|中綿の種類

保温材として使われているものも大きく分けて2種類あります。化繊系の中綿とダウンです。

【化繊系】

最近では化繊の中綿でも高性能で軽量なものも増えてます。値段も比例しますけどね…。傾向としてはどうしてもダウンと比較すると重くてかさばりますが、濡れても乾きやすくロフトの回復(ふくらみ)にもあまり手間がかかりません。また、ダウンと比較すると中綿がしっかりしているので、就寝中にもつぶれにくく背中の保温性、クッション性が高い傾向にあります。

【ダウン】

みなさんお馴染みの羽毛ですね。軽くて保温力が高いことと、収納サイズがとても小さくなることも大きな魅力です。ただし、濡れると固まってしまい保温性は無くなります… 現地で濡れたシュラフを乾燥させる際には30分から60分おきに指先でほぐしてあげる必要があります。

袋に収納する際はたたまずに端からグイグイ押し込んでいけばOKです! 楽です!  さらに別売のコンプレッションバッグを使うとかなりコンパクトになりますよ。

3|製品の使用温度領域

被災時にも役立つ寝袋の選び方

 シュラフの性能表示には3段階あります。快適使用温度(Comfort)、使用可能温度域(Limit)、使用下限温度(Extreme)の3つです。それぞれの内容説明をしていると長文になってしまいますので、もっと詳しく知りたいとう方は検索してみてください。
 製品選定する際は快適使用温度(Comfort)の表示に注目してください。キャンプを始めて最初に買うのであれば、5℃~10℃のレンジの封筒型の物が使いやすいと思います。

4|冬用の高価なシュラフは必要なのか!?

私は40年以上登山やキャンプをやってきているので、今となっては3種類の温度域のシュラフを使い分けていますが、冬用シュラフは意外と使う機会は少ないです。真冬にパンツ一丁、Tシャツ一枚で寝たい人は買った方が良いけど!

もし、キャンプは10月から5月の期間にしか行かないのならば冬用シュラフだけでも良いかもしれません。ダウンのシュラフでも冬用は収納時にもかさばりますから、物置きのスペースとも相談が必要になってきます。(ダウンの品質保持のためにも、収納袋のままの保管でなく、ゆったりとした大きな袋にいれるなど広げて収納)

5|TIPS

女性は男性よりも平均体温が低めだったり、筋肉量の違いから寒がりな傾向にあります。冷え性の方も多いかと。その際に使用温度レンジの違う物を選ぶ必要があるのか悩まれるかと思いますが、その必要は無いと考えています。解決策があるからです。背中側はマットの活用でも左右されますが、キリが無いので今回はスキップしますね。

●シュラフをレイヤードで使い倒す

シュラフ同士の重ねての使用は窮屈になってしまうためあまり、あまりおすすめできません。おすすめは、インナーシーツとシュラフカバーの併用です。

私はシュラフカバー → インナーシーツの順番で追加して寒さに対処しています。さらに寒い時には薄いダウンパンツとダウンジャケットを着て寝ればOK。使いまわしていかないとどんどん荷物が増えちゃいますから!!

●インナーシーツ

被災時にも役立つ寝袋の選び方

化繊やシルクなどの布一枚のシュラフです。女性は保温以外にも化粧品などで口元、襟元の汚れも気になると思いますので、シュラフ本体の汚れ防止にインナーシーツを常用するのも良いと思います。

●シュラフカバー

被災時にも役立つ寝袋の選び方

主に防水の目的で使うのですが、もちろん保温効果も高まります。素材はゴアテックスや各社が開発した透湿防水生地が採用されています。
ちなみに、秋冬の結露の多い時期はインナーテントの内壁も結露することがあり、寝ているうちにシュラフを濡らしてしまうことが結構あるのです。

なお、封筒型のシュラフだと、明け方に襟元と肩が寒くて目がさめることが多いかもしれません。おすすめの対策はカシミヤのマフラーです。枕元に置いておくと良いですよ。タンスに眠っている物を活用しましょう! カシミヤのマフラーは嵩張らないし、移動時にはキャンプギアを包んで保護することもできます。これ一枚あれば二度寝確定ですよ!

6|メンテナンス方法

個人的にはシュラフは毎回洗う必要は無いと考えています。

一番大事なのはテントと同様に、乾燥させることです。次は保管する際にゆったりとした袋に入れて保管することです。製品付属の収納袋に入れたままでも使えなくなる訳ではありませんが、特にダウンはダウンボール(羽毛一つの大きさ)のロフト(嵩)により保温するため、できるだけつぶさずに保管したいのです。ダウンジャケットと同じだと思ってください。
 たまには洗濯したいという方は各メーカーのホームページなどから洗濯方法を確認してください。

ダウンシュラフは布団洗いのできる大型コインランドリーの乾燥機を活用するととても効率よくロフトが復活できます。
 あと一点、キャンプ場についてひと段落したらシュラフは収納袋から出して、晴れているなら天日干ししておきましょうね。寝る時の幸せ感が違いますよ!

7|まとめ

いかがでしたでしょうか? ダウンシュラフは高価ですが、一生物だと思っても大丈夫です。私の実績では年間40-50日使っても、すでに30年以上問題なく使用しています。ダウンシュラフを選ぶのであれば登山用シュラフを扱っているブランド、例えばモンベルやナンガなどが失敗しない買い物ができると思います。

シュラフは被災時にも大活躍しますし、くるまった時の安心感があります。明日の活力を支えるギアなので、本来一番お金をかけるべきアイテムだと言っても過言では無いと思います。
 では、また!

参考
筆者のYouTubeチャンネル:【アウトドアなちゃんねる】
アウトドアなちゃんねる(山小屋セルフビルド・キャンプ・岩魚釣りなど)

山小屋セルフビルド、キャンプ、岩魚釣り、山菜/きのこ採り、ドローン空撮、バイクツーリングなど。
還暦オヤジのアクティビティーを紹介しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!