いっしょに学ぼう!水辺の安全ガイド ーキャンプをもっと楽しく、もっと安心にー

2025年7月14日

はじめに

清流での川遊びや湖畔でのSUP、海辺での磯遊びなど、水辺はキャンプの楽しみをさらに広げてくれる大切なフィールドです。 その一方で、水難事故は年々増加傾向。
実は「ちょっと目を離したすき」「いつもの場所だから大丈夫」という油断が大きな事故につながっています。
ここでは、最新データと公的機関の教材をもとに、私たちJAC個人会員が 「仲間どうしで声を掛け合い、学び合う」ためのヒントをまとめました。

1. データで見る水難事故のいま

水辺の事故防止を呼びかけるイメージポスター
水辺の事故件数(JAC作成)

発生件数 1,535件/水難者 1,753人/死者・行方不明者 816人
(2024年、過去10年で最多)
出典:警察庁

中学生以下の事故件数は129件、死者・行方不明者は28人。
ファミリーキャンプでは特に目を配りたい数字です。
出典:警察庁

場所別死亡・行方不明
海 48%、河川 36%、湖沼池 4%、その他
キャンパーが利用しやすい河川と海で事故が多いことがわかります。
出典:文部科学省

データを知ることは、「気をつけるポイントを可視化する」第一歩。
家族やグループで一緒にグラフを見ながら話題にするだけでも、安全意識はぐんと高まります。
面倒だなと思うかもしれませんが、少しでも頭の片隅にあれば防げる事故もあるかもしれません。

2. 安全の3ステップ

STEP 1 準備編 ― 出発前にできること

チェック項目 具体的な行動 備考
気象・水位情報 川の防災情報・雨雲レーダーを確認 国交省「川の防災情報」などに無料掲載
装備 体に合ったライフジャケットを全員分 川=シートベルトの合言葉
出典:国土交通省
下見 浅瀬・深み・流れの速い所を事前に歩いて確認 前日夕方~当日朝にもう一度
ルール共有 集合時間と合図、アルコールNGを決める 子どもにも簡単な言葉で

ワンポイント: ライフジャケットは、腰巻タイプより肩掛け or 固形浮力式の方がズレにくく子ども向きです。

STEP 2 遊泳中 ― 事故を「起こさない」習慣

  • 15分ごとに全員が岸へ上がり、水分補給
  • 子どもは必ず“大人と1対1”の付き添い
  • 流されている人を見つけたら「浮くものを投げる」が鉄則(飛び込んで助けに行かない)

STEP 3 万一の時 ― 命を「守り抜く」行動

  • 通報: 海は118、陸上は119。電波が弱い場所は事前に発信場所を決めておく。
  • 救助: 掴まれる長い物(ロープ、木の枝)やペットボトルを投げ渡す。
  • 応急手当: CPR(心肺蘇生)と AED。  消防庁「その一手が命をつなぐ」ポスター で手順を復習。

3. 安全確認マルバツクイズ:あなたは何問正解したかな?

問題をタッチ(クリック)すると正解が表示されます。

Q1. ライフジャケットは「川幅が狭い場所なら不要」である。
❌ 不正解!
川幅に関係なくライフジャケットは必須。足を滑らせるだけでも事故は起こります。
Q2. 水温が低いときは泳がなければ低体温症にはならない。
❌ 不正解!
水深が膝でも、長時間浸かると体温は急激に奪われ低体温症になる危険があります。
Q3. 海の離岸流から抜け出すには岸に向かって全力で泳ぐ。
❌ 不正解!
正しくは岸と平行に泳ぎ流れから外れてから岸に戻るのが安全です。

4. 家族や仲間と共有したい、水辺安全の学習教材(リンクはタイトルをクリック)

分類 素材(クリックでPDFへ) 使い方
ライフジャケット着用義務化チラシ 国土交通省(海上保安庁監修)—A4縦横・印刷OK キャンプサイト掲示やチェックイン時の案内に最適
川あそびのスタイルイラスト 国土交通省 川あそびの服装 PDF キャンプ前のファミリーミーティングで活用
「川のシートベルト」ポスター 国土交通省 河川水難事故防止ポータル SNS投稿やブログ挿絵に便利
CPRマンガ「その一手が命をつなぐ」 消防庁—ポスター PDF スマホに保存し非常時の確認用

ダウンロード&利用について
上記素材はすべて公的機関が無償公開しているものです。掲示・配布時は 出典(機関名・作成年)を明記してください。

出典一覧

自然を愛し、フィールドを楽しむ私たちキャンパーにとって、
水辺の事故は決して遠い出来事ではありません。
「ちょっとした気配り」「ひとことの声かけ」が、仲間の安全を守る力になります。

いつも通っているお気に入りの川、子どもがはしゃぐ湖畔、みんなで笑い合った海辺——
そんなかけがえのない場所を、これからも安心して楽しめるように。
水辺のリスクを知り、備え、そして仲間と分かち合うこと。
それが、キャンパーとしての思いやりと優しさにつながっていきます。
私たちJACでは、キャンプを安全に楽しむための情報発信をこれからも続けていきます。ぜひ周囲の仲間とも共有し、フィールドでの安心につなげていきましょう。