キャンプを仕事にする醍醐味は、キャンプの楽しむを生み出す側になれること

2021年8月11日

みなさま、こんにちは。オートキャンプ協会のインストラクターで、2021年4月に『キャンプ職業案内』という本を出版した佐久間亮介です。このコラムでは全3回に渡って「キャンプの仕事」についてご紹介しています。第1回は、キャンプにまつわる職種ってどんなものがあるのか?を、第2回は、僕がキャンプを仕事にするまでに準備したことやオートキャンプインストラクターの仕事の話をしました。最後となる第3回は、キャンプを仕事にすることの醍醐味やこの仕事のリアルなところ、キャンプを仕事したいと目指す人に向けて僕が思うことをお伝えさせていただきます。

キャンプを仕事にすることの醍醐味は、キャンプの楽しみを生み出す側になれること

脱サラをして7年。キャンプにまつわる記事の執筆やキャンプシーンのコーディネート、キャンプイベントの企画など、キャンプの仕事で生計を立てられるようになり、『キャンプ職業案内』というキャンプに関する職業本を執筆する機会を得られた僕が感じる、キャンプを仕事にすることの醍醐味。それは「キャンプの楽しさを伝える側、生み出す側になれること」だと感じてます。かつて僕は、キャンプに目覚めた会社員時代、毎週末友人と行ったキャンプでは、テントを張り、ダッチオーブンで料理をしてお酒を嗜みながら、キャンプを楽しんでいました。そこから「キャンプを仕事にしたい」と一念発起をしてこの世界に飛び込んだ僕にとって、キャンプを純粋に楽しむ側から、キャンプを楽しませる側、キャンプの楽しさを伝える側になれたことが、僕がこの仕事をしていてよかったなと思えることです。

執筆した『キャンプ職業案内』という本を通して、普段はなかなか表に出ないキャンプ業界にいる人々の裏側を伝え、キャンパーに新しいキャンプの発見を提供できたり、テンマクデザインとのコラボレーションアイテム「ガレージテント」でキャンパーのキャンプライフをより豊かにする機会を提供できたり、そうやってキャンパーを楽しませる側になれたことが、何よりも嬉しいことで尊いことだと思います。

「キャンプ好きは、キャンプを仕事にしないほうがいいのではないか?」問題

好きなキャンプを仕事にしていると、時に「好きなことを仕事にしてしまうとキャンプが嫌いになってしまわないか?」という質問をされることがあります。その答えは「嫌になることはあるけど、嫌いにはならない」です。雨が降り続く中での撮影ではキャンプ道具がドロドロになったり、重たいテントを必死に家のベランダで干しているときは、嫌な気持ちになったりもします。ここ最近は、猛暑続きで熱中症対策をしながら撮影をしていますが、無事に撮影を終えて家に帰ったときには、ヘトヘトになっていることもあります。その度に、この仕事の過酷さを痛感しますが、それでも僕がこの仕事を続けられるのは、やはりキャンプを伝える側になれていることへの充実感や、一時的に嫌になったとしても心の奥底ではキャンプが好きであるという確固たる情熱があるからです。

「キャンプが好き」のもう一歩先へ

書籍の中で、キャンプ好きはキャンプ場では働かない方がいいのでは?という話が出ました。なぜならば、キャンプ場はキャンプを楽しむ場を提供するのが仕事。自らキャンプを楽しむこととは全く別のことであるからです。キャンプを仕事にするというのは、「純粋にキャンプが好き」であることのもう一歩先、キャンプを通して世の中にどう貢献していくのかという視点が必要で、それをどのようにして作り出していけるのかが大切なポイントなのだと感じます。キャンプ場というフィールドで、キャンパーの休日をどれだけ実りあるものにできるのか。メーカーは、生み出すキャンプギアでどれだけキャンプの楽しさを作り出せるのか。メディアは、キャンプの情報を伝えることでどれだけ新しい視点、キャンプのワクワクを提供できるのか。キャンプを仕事にしている方々は、皆さん日々そんなことと向き合っています。もしキャンプが好きで、これからキャンプを仕事にしようと考えている人がいるのであれば、自分の能力・個性を使ってどのような形で社会に価値が提供できるのかを考えていく必要があります。

キャンプを仕事に、を目指す人へ

昨今のキャンプブームを受けて、キャンプを仕事にできたらいいなぁと思う人がきっと増えているのではないか、そんなことを感じたことが出発点となって『キャンプ職業案内』という書籍の制作がスタートしました。実際にキャンプを仕事にしている人たちへのインタビューを通して感じたことは、「キャンプを仕事にするための門戸は誰にでも開かれている」ということでした。クリエイティブ気質な方は、自分の能力とキャンプを組み合わせて仕事に繋げることは不可能ではないです(実際にそれを実現してきた人たちが書籍に登場しています)し、キャンプ場のスタッフやアウトドアショップの店員、メーカーの社員など、勤め人としてキャンプにまつわる仕事をすることだってできます。今、世の中は副業が徐々に解禁になりつつありますし、SNSなどを通して誰でも発信者になれる状況です。まずは休日を使ってアウトドアにまつわる仕事に関わってみるのもいいですし、何かしらの手段を使ってキャンプにまつわる情報を発信して個の力をつけていくのもいいでしょう。何よりも大切なのはまずはアクションを起こしてみること。最初からうまくいくことなんてそうそうありません。ですが、アクションを起こさない限りは何も起こりません。

ぜひ、キャンプを仕事にしたいと思う人は、小さな一歩でいいから自分にできることから始めてみてください。


(執筆者紹介)

佐久間亮介
好きなことを仕事にしようと会社員を1年10カ月で飛び出したのち、日本全国のキャンプ場(合計250カ所以上)を巡る旅を経て、キャンプを仕事にするフリーランサーに(執筆・コーディネート・講演・イベント運営)。月間最高80万PVのキャンプブログ【https://camp-in-japan.com/】を共同運営。テンマクデザインより、ソロ向けロッジ「ガレージテント」発売中。一般社団法人日本オートキャンプ協会・事業委員会委員。


イラスト: 関根千種
書籍:

キャンプ職業案内