女子ソロキャンプ考!

2020年12月10日

女子ソロキャンプ考

山間部のとあるキャンプ場。
日帰りだというお隣のファミリーに挨拶をして、手早くテントとタープを設営する。ソロ用はコンパクトだから設営も楽だ。テントの前室に道具箱を置き、タープ下にチェアとテーブルをセッティングして落ち着いたら、シングルストーブをポンピングして火を付ける。ボッボッ!としばらく炎が上がったあと、コォーーー!という小気味好い音とともに快調に燃焼を始めた。
その音を聞いてお隣のパパさんから「ソロですか?」と声がかかる。二言三言言葉を交わしただけだったが、羨望の眼差しが伺える。いいでしょいいでしょ、と心の中でつぶやいた。ソロキャンプにはなんとも言えない魅力があるのである。

私がソロキャンプを始めたのはもう20年も前。なんでソロを始めたかというと、一緒にキャンプに行く友人がいなかったという至極単純な理由から。誰もいないならひとりで行っちゃえ。ネット掲示板で知り合った先輩方に色々と指南頂き、ソロキャンプへの第一歩を踏み出したのであった。

ソロ=ひとりでキャンプに出かけるわけ

ソロキャンプの魅力ってなんだろう?タイトルは女子ソロキャンプとなっているが、男女に関わらず自然の中で気ままに過ごすのはいいものだ。好きな時に好きな場所へ行き、自分のペースで好きなことをする。誰に気兼ねすることもなく、のんびり自然を満喫する。さらに言うなら人はなるべく少ない方がいいから、混雑するシーズンは避ける。今ほどのブームじゃなかったから、行楽シーズンを避けるとキャンプ場はガラガラ。山深い渓流沿いのキャンプ場で貸し切りということもあった。
自然を独り占め出来る完全ソロキャンプはとっても魅力的だ。川のせせらぎ、風のそよぎや野鳥の声、自然の音だけに包まれて感覚が研ぎ澄まされる。そんな時は仕事のことなど微塵も思い出さず、すっかりリラックス出来る。他に人がいたとしても、自分の時間を邪魔されない最高の癒しがそこにはある。

でもちょっと考えて、女ひとりということ

キャンプに限らず、男性よりも女性の方が、危害を加えられる立場になる可能性は高い。キャンプ仲間と、山の中にひとりでキャンプするときに何が怖いかという話になって、野生動物よりも幽霊よりもニンゲンだと言ったら驚いていた。(同席していた)男性陣はそういう感覚が想像つかないらしい。人通りのない夜道で後ろからヒタヒタと足音が近づいてきたら、女性なら誰しも恐怖を感じるのではないだろうか。その感覚はキャンプでも忘れてはいけない。前出の貸し切りのキャンプ場では、夜間には管理人さんも帰ってしまい、外灯もまばらでほぼ真っ暗な中、頼れるのは自分のランタンの灯りだけという状況になった。有名な滝が近くにあり、昼間は観光客が行き交ってソロキャンプをしている私を見ている。ちょっとイタズラしてやろうという人が夜中にやってきたら・・・と思うと怖くて、その時は車の中で寝た。テントとタープはそのままに、あたかもテントで誰かが寝ている風を装って。
ありきたりになるかもしれないが、防犯ブザーは持っておくべきだと思う。夜間も管理人が常駐しているキャンプ場で、周りにはファミリーやカップルがいる環境が安心できる。ネットで検索すると他にも色々と防犯対策が出てくるので、これからソロキャンプをしようと思う女性の皆さんは、一度防犯についても考えてみてほしい。深夜にテントの外からしつこく声をかけられたり、隣のソロキャンパーが酔って絡んできたり・・・といったトラブルも耳にしている。何かあってからでは遅い。

一期一会のキャンパー交流

貸し切りでなければ、他のキャンパーさんと交流の機会も生まれる。道の駅でご当地のフルーツを買って、一人じゃ食べきれないからお隣におすそ分けしたら、グラスワインをお返しに頂いたり、炭火をおすそ分けしたら焼き鳥になって戻ってきたりということもあった。
グラスワインを頂いたのは、ひとりが怖くて車の中で寝たのと同じキャンプ場だ。周りの状況でこうも違うキャンプになるのも面白い。おそらく再び会うことはないだろう、名前も知らない人たちだが、キャンプが好きなのは変わらない。ひとりが故に、ちょっとしたふれ合いがなんとも心地いいのである。

ソロキャンプ=自分への挑戦(笑)

また、ひとりだから、当然自分のテントやタープは自分で建てなければならない。何分で設営できるかタイムトライアルをしたり、今回はこんな風にしてみようと設営を色々工夫したり、同行者に気を使う必要もないからどれだけ時間がかかったっていい。強風のキャンプ場でアタフタしていたら、管理人さんが見かねて手伝ってくださったこともいい教訓になった。次は絶対うまくやれる自信あるぞ。そうして、少しずつ自信をつけてたくましくなっていく。たくましくなり過ぎると、可愛げがないだろうか。

結論、やっぱりソロキャンプは楽しい

女性のソロキャンプは色々気がかりなこともあるけれど、それを差し引いても得るものがたくさんある。興味はあるけど躊躇しているという人は、一度イベントキャンプに参加してみるのはどうだろうか。イベントキャンプだと防犯面で多少安心感もあるし、周りからフォローしてもらえることもある。イベントは気後れするというのであれば、近隣のキャンプ場でデイキャンプから初めてみるのもいい。管理人さんと親しくなっておけば、泊まりのキャンプでも心強い。
キャンプ場の管理人さんには、ぜひ、防犯面での配慮をお願いしたい。サイト割を管理棟に近いエリアにするとか、定期的に巡回するだけでも犯罪の抑止力になる。気にかけていただいたり、気軽に声をかけていただけると、こちらは大変心強いものである。
そのうち、女性専用車両やホテルの女性専用フロアのように、女性専用キャンプ場なんていうのも、もしかしたら出来る日が来るかも?


コラムニスト紹介:吉田あげは
キャンプ好きが高じて山にログハウスを建て、ログハウス好きが高じて建築フォトグラファーになる。キャンプと建物探訪を人生の二大柱として、本業そっちのけで活動中。
https://ageha68.com