「雪遊びを楽しむために」」トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』12月号

2020年12月1日

冬の白川郷といえば「雪」と答える人も多いのではないでしょうか。近年は暖冬と言われる年が多くなっており、白川郷でも例年よりも雪が少ない年が続いています。トヨタ白川郷自然學校で計測した昨年の最高積雪は78㎝でした。雪がほとんど降らない地域の人からすればそれでも十分と思える積雪かもしれません。しかし、平均3m程の積雪があると言われている白川郷ではとても少ないのです。


雪が少ない年といっても全く降らないわけではないので、雪が降る日は大人になった今でも気持ちが高揚します。辺り一面真っ白になった白銀の世界や木の上に積もった雪が白い花を咲かせているように見えるきれいな風景、ふかふかの雪の上を歩く時の気持ちよさなど雪ならではの楽しいことを挙げはじめたらきりがありません。もちろん雪だるまづくりや雪合戦といった雪遊びもします。それくらい雪には人を魅了する力があるのです。
そんな楽しいことがいっぱいの雪ですが、気を付けなければいけないこともたくさんあります。その中の一つが低体温症や凍傷です。これは主に寒さが原因でなることが多いので、雪遊びをするときには正しい服装を身に付けることがとても大事です。私たちがお客様を連れて雪の森の中をご案内するときには、出発前にどんな服装で参加するのかを必ずチェックします。防水性、防寒性のあるウェア、手袋、靴、帽子など、その日の天候に合わせた最適な服装になるように調整していただきます。
雪遊びの活動中によくあることが、活動に夢中になってしまい、身体が熱くなってきてウェアを脱いでしまうことや、手袋をした手では道具を使いにくかったり、雪玉が作りにくいということで、外してしまい素手で遊んでいる場面を見かけることがあります。
すぐに避難できる施設が近くにある場所や、短時間での雪遊びなら大丈夫な場合もありますが、長時間そのままの格好で遊んでいると、低体温症や凍傷になってしまう危険があります。
ラニーニャ現象が継続している年は大雪が降る傾向との話があります。もしかしたら今シーズンは例年通りの積雪が戻ってくるかもしれません。積雪が多くなると楽しさも増しますが、その分危険なことも増えてきます。思いっきり楽しむためにも安全第一で雪遊びをしましょう。


<インタープリタープロフィール>

西岡 弘恭(にしおか こうすけ)
愛知県出身。高校卒業後は工場勤務の会社員だったが、趣味の登山がきっかけで、自然と関わることができる仕事をするために専門学校へ。その後、豊かな自然に囲まれたトヨタ白川郷自然學校へ入職。主にアクティビティの企画、運営を担当。

無断転載禁止 執筆者の許可を得て転載しているものです。


トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』バックナンバー

「スズメバチの巣は隠れている」トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』10月号
「急な天候の変化にご用心」トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』8月号
「熱中症」 トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』6月号
「夕暮れ時はご用心」 トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』4月号

「雪上ランチのすゝめ」トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』12月号より
「“言葉”の秋」トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』10月号より