■「いばらきキャンプ」が熱い!
茨城県が昨年から「キャンプ」コンテンツを軸に観光PRに取り組んでいる。今回、取り組みを行っている茨城県営業戦略推進部観光物産課に話をうかがいました。
茨城県ではコロナ禍になる以前から「冬の観光が弱い」という課題があり、それにどう取り組んでいくか検討していく中で、昨今寒い中でのキャンプ「冬キャンプ」の人気が高まっていることもあり、コロナ禍の観光需要喚起策の一環として、今回の「いばらきキャンプ」の構想がはじまったという。
■キャンプ場数全国一は茨城県
茨城県は都心からのアクセスに関しても、他の高速道路と比して常磐道は混雑も比較的少なく、120分以内にストレスなく県内多くのキャンプ場に辿り着ける。県内に海・山・川・湖のすべてのフィールドがあり、ほとんどのエリアで降雪することが少ないことも利点の一つだという。また、「体育・スポーツ施設現況調査(スポーツ庁)」によると茨城県のキャンプ場数は163カ所(2018年10月時点)あり全国一という。学童の宿泊合宿学習体験などを目的とした施設も多く含まれるとのことだが、他県との差別化を図るためにこうした数字も含めて「茨城県はキャンプの聖地」、「アウトドアに積極的な茨城県」というイメージ作り、情報発信を行っている。
昨年2020年6月議会での事業予算化の承認を受け、9月には茨城県内のキャンプ場情報を集めたキャンプ場検索ポータルサイトとして「いばらきキャンプ」を開設。県内の主要なキャンプ場を網羅し、現在65のオートキャンプ場を掲載しているという。ポータルサイトでは様々な情報発信の他に、平行して他県の人々に茨城県内のキャンプ場の魅力をもっと知ってもらうためにモニターイベントを実施。県外のキャンパーを招き茨城県の海・山・川・湖の各フィールドの魅力を体験してもらい、その後、焚き火を囲んでの座談会での聞き取りをもとに魅力発信のためのノウハウの蓄積をおこなってきた。県としてのこうした取り組みは、これまでにない自治体の試みとして当初、他の自治体からも問い合わせがあるという。
■約3,000人が来場した「IBARAKI CAMP AUTUMN FESTA2021」
前年のモニターイベントを経て、2021年11月6日・7日に満を持して「IBARAKI CAMP AUTUMN FESTA 2021」を涸沼自然公園キャンプ場にて開催。アウトドアブランドマーケットや、いばらきならではのフード・ドリンクブース、お子さま連れでも楽しめるアクティビティやワークショップなど、さまざまなコンテンツを用意。日帰りキャンパーも含め県内外から約3,000人が訪れた。宿泊するキャンパーには「涸沼自然公園キャンプ場」の他「大洗サンビーチキャンプ場」「しもはじ埴輪キャンプ場」から好きなキャンプ場を選択できるようにしたり、アクティビティ体験付きのプランを用意するなど工夫を凝らした結果、予約ではキャンセル待ちが出るほど申し込みが殺到したという。物販や観光PRのイベントはこれまで実施してきたが、「キャンプ」や「アウトドア」というキーワードで立て串を通したような大型のイベントを県が主催したのは今回が初めてのことだったが、来場者の活況に大きな手応えを感じられたという。
■令和5年にはJR6社とタッグを組んで、さらにいばらきキャンプを身近に
3期目に突入する来年は「キャンプ場」を起点にアウトドア・アクティビティを通してフィールドの楽しみ方を茨城県全体でアピールできるように広げていきたい、と意気込みを話す。来られた方にどうやって過ごしてもらうかが今後大事になってくる。県内各地個別に点在している地域資源をうまく一体化して、ユーザーに伝わりやすいコンテンツ作りを目指していきたいとしている。
また令和5年秋にはJRグループと組んで大規模な観光キャンペーン「デスティネーションキャペーン」が予定されている。コロナの終息後に実施される大型観光キャンペーンとなることを見据え、これをきっかけに観光需要の回復および県内経済の活性化に繋げていきたいとしている。全長約180キロメートルの「つくば霞ケ浦りんりんロード」が、琵琶湖を一周する「ビワイチ」、瀬戸内海を横断する「しまなみ海道サイクリングロード」と共に、国土交通省のナショナルサイクルルートにも指定されていることから、クルマを所有しない都心在住者などに輪行など電車を使って茨城まで来ていただき、テントやキャンプ道具などはシェアリングやレンタル品を活用して軽装でキャンプを楽しめるウルトラライトキャンプの方法なども検討していきたいとしている。
来年1月に再び冬キャンプに特化したモニターイベントキャンペーンを計画しているということで、「いばらきキャンプ」は今後もますます注目されそうだ。
取材:日本オートキャンプ協会事務局