焚き火台禁止!?直火OKのキャンプ場〜こいしゆうかとキャンプごと11月〜

2021年11月13日

一風変わったコンセプトを掲げたキャンプ場が、福島県の二本松にできたらしい。

「いつか行けたらいいなぁ」とぼんやり思っていた。

先日、友人らとそのキャンプ場の近くにある安達太良山に登る予定ができたので、

ふらりと(しかしちゃんと予約をして)友人らと一緒に遊びに行ってみた。

いつも通りグーグルのナビに沿って行ってみたら、全く道がわからなくなってしまった。

なんとかHPにある「キャンプ場へのアクセス」の動画を友人に見てもらいながら、

グーグルマップにもない道を走り辿り着いた先には、

なんとも衝撃的な管理棟があった。

以前は大きなテントが建っていたのだが、風で飛ばされてしまい

今はほとんど毎日、若い管理人の男性がこのテントでお客さんを待ち受けているそうだ。

なんとも寒空のなか…。

(でも彼の目はキラキラしていて、楽しそうだったので安心した)

そんな管理棟で、最初にキャンプ場利用にあたっての入念な説明をされる。(2021.11現在のルール)

キャンプ場の木は指定のもの以外切ってもOK

・キャンプサイトを現場復帰する条件

・説明前の写真と設営後の写真を撮影して撤収報告

直火後は地面が冷えたことを確認する

・炭は専用の炭捨場に

・灰は埋めるか、炭捨場に

などなど他のキャンプ場にはないルールがある。

キャンプサイトは大まかに分かれて3つ

あだたら山が見れる「ファインビュウエリア」

フィールドビウエリアから見た景色

このキャンプ場を象徴するような場所

「ブッシュクラフトハンモックエリア」

ブッシュクラフトハンモックエリア

もう1つは、キャンプサイトというより雑林が立ち並ぶ「ディープブッシュクラフトエリア」

木や枝を切ってツリーハウスも建ててもいいらしい。

人の土地でそんなことさせてもらえるなんて日本全国みても珍しいんじゃないだろうか。

トイレと水場は一箇所のみ。管理棟横に置いてある。

広々として清潔感ある仮設トイレだが好みは分かれるかもしれない。

とは言っても、ブッシュクラフト好きにとってはトイレや水場は二の次だろう。

2組ほどいたキャンパーに声をかけてみた。

「ブッシュクラフトをやってみたいと思って会社の後輩と茨城からきました」

と言っていた会社の先輩に少しサイトを見せてもらった。

テント2つがちょうどいい距離感にあって、お互いが自分の焚き火を楽しんでいる図はなんだか幸せだった。

こちらは、キャンプ場から車で10分の場所に住んでいる会社の仲間たち同士。

テントを設営して一旦仕事に戻ったそうだ。

エクストリーム出社というか、…どういうこと!?

(翌日めちゃくちゃ早朝に出てったのでおそらく出社しに行ってる。すごい!)

キャンプ場の管理人さんに案内されながら場内をうろうろしていたら、あっというまに日がくれてきた

いそいそと自分のキャンプの時間がはじまる

(仲間はもう昼から直火とビールを楽しんでた)

わたしは自分のテントを忘れてしまったのもあって、たまたまクルマにあったハンモックで寝ることにした。

ハンモックをかけれるキャンプ場は数が限られる。このキャンプブームでマナーの問題から、禁止されるところも増えた。

5、6年ぶりにハンモックで寝ることにした。

ハンモックにタープをつける。ちょうどいいテンションで設営したり、

ちょっと景色が見えるようにしたり、おうちからものづくりがはじまる。

地形や条件に合わせて家の形を変えていくのは、ブッシュクラフトの面白さの1つだと思う。

直火の魔法

直火の焚き火は、特別だ。

最近では、マナー問題もあって直火OKなところでさえ気が引けて焚き火台を用意していた。

でもここは直火が推奨されている。堂々としてやろうじゃないか。直火で焚き火を。

直火は空気の通り道を考えて、薪を組むというちょっとだけコツが必要だけど

一度火がついてしまったら、その火はなかなか消えることがない。

だんだん夜が深まると、チェアに座ることも面倒くさく(もしくはじれったく)なってきて、

焚き火と同じ目線になれるよう座る。

キラキラキラキラ、奥にオレンジ色の光がゆらめき、

地面から、空気から、伝わる熱で体の真から暖まっていく。

大地の力、木々の力を感じ、それらを体全体で受け入れ続けていると、

「これが地球かぁ〜すごいなぁ」といつまにか宇宙レベルに考えてる自分がいるのだ。

焚き火の熱が伝わり、温まった地面の上にマットを一枚敷いて寝転ぶと、

「チェアもテーブルもいらないんじゃないか。灯りも最低限でいい。星空の下ならテントもいらないかもしれない。」

そんなことが頭によぎってくる。

直火は、キャンプの究極を教えてくれる。

確かに地面にダメージを受けさせ、自然への負荷の問題はあるかもしれない。

ただ、時々、焚き火台も持たず道具もずっとシンプルに、原点に帰るようなキャンプをしたい。

それはわたしたちと自然をより近づけてくれ、その自然を想い、考える、きっかけになるものだと信じているから。

直火の魔法を経験することは、きっと誰しもに必要不可欠なことなんだと、わたしは思う。


コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター

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