キャンプを仕事にしていると、「一ヶ月で何回くらいキャンプに行ってるんですか」と言われることがある。残念ながら2月は0回だ。なので、この春のキャンプ利用者の数が昨年に比べてどうだとか実感はないけれども、キャンプ場スタッフの友人から「昨年からは変わらないけども、おととしよりはずっと増えているね」と聞いた。今年はメディアからの依頼も多い、わたしだけでなく周りのキャンプに携わる人たちはあちらこちらから声をかけられていて、以前よりもずっとキャンプという遊びが注目されているんだなぁと感じる。オートキャンプ白書によると、現在は840万人ほどの人口で(2017年現在)、まだ1000万人には届いていない。しかしこのままいくと数年でその数字を超えるのではないかと言われている。
一方、昨年からSNSを通じて不穏な空気が流れているのも感じる。利用者のゴミ問題、マナー、焚き火で芝生全体を焦がしてしまうなどという事件もあり、もともとキャンプ好きだった人たちや地元の方の心を痛めているのも事実だ。
キャンプは誰にでもできる。ただ、そのルールはあいまいだ。利用客個人のマナーとモラルに預けられすぎているところもある。初心者にとってはどれが正解なのかがわからない。きっと今後は海外の顧客も増えてますますそのルールはあいまいになるだろう。
そこでふと思った。現在静かなブームとなっている日本の銭湯。外国人向けのツアーなどがあり、日本文化として人気が高い。わたしは趣味で銭湯によく行くのだが、どこの銭湯でも”利用上のマナーのポスター”というものをよく見かける。古臭い昔のポスターではなく、英語表記のものもあり、目につきやすいように工夫をしているのだ。中身はというととてもシンプルで、「湯船に入る前に体を洗う」「走らない」などというものだ。大変わかりやすく、銭湯によってイラストや表記が若干違うこともあるけど中身は統一されているようだ。あのポスター、キャンプでもあってもいいんじゃないだろうか。なるべく内容はバラバラじゃないほうがいい。キャンパーの心得9つなど全国で共通するルールとマナーのポスター。そんな小さなことで利用者のマナーが良くなるのかと言われるとわからないけれども、銭湯同士がタッグを組んで”面白いもの”と”良きマナー”を両立した動きをしていて、それが若者たちの心を掴んでいるのを見ていると、そこにヒントがあるように思えた。1つ1つの力は些細なものでもせめてこの新聞を購読しているキャンプ場さん同士で手を組んで、”面白いもの”と”利用者が幸せになれるマナー”の啓蒙活動ができないかなぁと思うのだ。
コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター
(オートキャンプ 2019年4月号 こいしゆうかの『女子キャンプ日記』より転載)
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