とある梅雨の日のキャンプ~『女子キャンプ日記~8月号より』

2019年8月30日

先日、時間が少しあいたので思い立ってキャンプに行ってきた。梅雨シーズンに一度行きたかったのだ。夏になると、キャンプ場も混雑してくるし、暑くてより快適さからは程遠くなるので、あえてこの梅雨時期に行く。到着したころは小雨だったので、ささっとタープを建ててその下にテントを置く。こうしてテントが濡れるのを最小限にできる。(翌日の雨撤収ということはわかっていたので、なるべくテントは濡らしたくない)梅雨時期は、雨を理由に動かなくていいキャンプができる。もともと引きこもりキャンプが好きなわたしにとって雨音を聞きながら焚き火をして、事前にアイパッドに入れていた映画を見れるのは贅沢な時間だ。

とある梅雨の日のキャンプ

キャンプの装備はシンプルなくらいがいい。タープ、テント、マット、小さなライト。過ごす時間の長いリビングには、チェア、テーブル、焚き火台。バーナーとクッカー。買ってきた食材を小さなソフトクーラーに入れる。調理の基本ツールは1つの小物入れにまとめる。ナイフ、トング、お箸、少しの調味料と小さなまな板。オートキャンプにしては、ずいぶん荷物が少ない。ビールを空けて、暗くなる前に調理をする。最近ではもっぱらスパイスカレーを作る。みじん切りした玉ねぎを焦げるくらいまで強火で炒めて、クミン、ターメリック、コリアンダーといったスパイスを入れる。刻んだトマトと炒めて、鶏肉を少し炒め、あとは塩と水を入れて10分煮込む。それだけでいい。スパイスの香りが広がるから、実はキャンプはルゥカレーよりもスパイスから作ったほうが相性がいいとわたしは勝手に思っている。できあがったカレーをつまみながら、ワインを飲む。焚き火の火がいい感じになってきたことに満足感を覚える。ぼんやりしているとあっというまに夜もふけてくるから、はやめにテントに入って寝っ転がって映画を見る。み終わるころにはすっかり眠くなるので、雨の音を子守唄にして眠りにつく。キャンプの日は、雨のほうがよく眠れる。朝もほの暗くていい。少しの鳥の声とミストみたいなシャワーの音で目がさめる。春と夏の間の季節を感じる。テントをあけると、緑が濃くなった森が見えた。朝ごはんをゆっくり食べてふっと一息をつく。雨撤収はほんの少し面倒だけども、荷物が少ないからささっと片付けられる。濡れてしまったタープは家に帰ってベランダで干そう。テントはぞうきんでさっと拭いた程度で大丈夫だった。「もう一泊くらいしたかったな」と思いながら、車を走らせて次の仕事場に向かった。

 


コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター

(オートキャンプ 2019年8月号 こいしゆうかの『女子キャンプ日記』より転載)
無断転載禁止 執筆者の許可を得て転載しているものです。