都市近郊にキャンプ場を
〜東京のベッドタウンに「ogawa GRAND lodge FIELD」オープン
全国でアウトドアギアメーカーがキャンプ場をオープンさせる中、老舗アウトドアメーカー「キャンパルジャパン」が、2022年7月、千葉県柏市でキャンプ場「ogawa GRAND lodgeFIELD」をオープンさせた。同社の前身「小川テント」は1980年代に静岡県の「大野路ファミリーキャンプ場」の運営を行うなど、時代に先駆けてキャンプ場の運営にも取り組んできた歴史がある。
今回のキャンプ場のオープンについて、同社代表取締役伊川良雄氏に話を聞いた。
■キャンプをさらに「より身近」なものにするため
Q.用品メーカー各社がキャンプ場をオープンさせる中、都市近郊のベッドタウンにキャンプ場を作った狙いについて教えて下さい。
伊川氏:近年ユーザーは、キャンプのやり方、道具の選び方などの動画をはじめとした、キャンプに関わる様々な情報を自宅に居ながらにして集めることができ、様々な用品が販売されることで、自分のスタイルに合った用品を選ぶことができるようになるなど、一見するとキャンプを始めるためのハードルは下がっています。キャンプを始めるまでの環境はインターネットにより、このように大きく改善されました。一方で実際にフィールドに行くには、自宅から1時間から2時間をかけてキャンプ場にたどり着き、そこから準備を始め、翌日には撤収というのが国内のキャンプの実情です。特に人気があり、アクセスが良い場所では予約が取りづらく、初心者の中には、キャンプをしたい時にフィールドが確保できないために、キャンプを始めることを躊躇している人もいると聞きます。
こうした状況で用品メーカーとして、少しでもユーザーとキャンプをするフィールドを近づけるための施設が今回の「ogawa GRAND lodge FIELD」です。より身近なところにキャンプ場を作ることで、ユーザー、特にエントリーユーザーがキャンプ場に来て、キャンプをするまでのハードルを少しでも下げていくことを大きな目的の一つとしています。
また、用品も実際のフィールで「見て」「試して」実際に「泊まって」、製品の特徴を十分に知って頂いけるような施設にもして行きたいと考えています。これまで、キャンパルジャパンの直営店「グランドロッジ」を全国にオープンしてきましたが、「ショップ」ではなく「キャンプ場」という新しい窓口でユーザーと接点を持つことで、ショップでは得られないユーザーニーズを把握し、商品開発にも活かして行きます。その他、ワークショップなどのイベントも積極的に行い、ブランドの情報発信の場としても活用していきたいと考えています。
■キャンプ場に農園もプラス
キャンプ場は東京のベッドタウン、千葉県の柏市にあり、周辺住民の憩いの場でもある手賀沼を望む高台にある。もとゴルフのショートコースであった場所で、敷き詰められた芝生やなだらかな斜面を利用してオートキャンプやソロサイトなど、タイプ別のキャンプサイトが作られている。現在はオートサイト11サイト、ソロ用フリーサイト25サイトがオープン。今後ドッグランサイトの増設、ウッドデッキ付きトレーラーハウス、木立の中には常設テント用のウッドデッキも現在整備中で、他にサウナトレーラーも導入するなど、今後少しずつ整備を進めて行くという。また場内には本格的なイチゴ栽培のビニールハウス「イチゴハウス」もあり、今後来場者の農業体験の場として活用していくという。
取材当日キャンプ場に訪れた女性の2人組。登山用の大型ザックを背負っているが足元はスニーカー。どこから来たのか尋ねると「柏からバスできました」。ザックにキャンプ用品のすべてを詰めて来たという。かつてオートキャンプと言えば、「家族と」「クルマで」が定番だったが、今オートキャンプ場に訪れる人は、そのどちらにも嵌らない人も多い。取材当日は平日にも関わらず、典型的なオートキャンプのスタイルやソロキャンプなど、テントサイトの3割程が埋まっていた。かつての「休日の楽しみ」というのも変わってきているようだ。
プロフィール紹:
伊川良雄(いがわ・よしお)
キャンパルジャパン株式会社 代表取締役
1967年生まれ。東京都出身。
1992年小川テント株式会社入社。
品質管理や営業職を経験し、2000年に分社した小川キャンパル株式会社、2015年設立のキャンパルジャパン株式会社へ。2年後、CEOに就任し現在に至る。100年以上続くアウトドアブランド「ogawa」を展開。2022年7月には直営キャンプ場もオープン。
聞き手:日本オートキャンプ協会
■ogawa GRAND lodge FIELD
https://www.campal.co.jp/news/2022/07/ogawaogawa-grand-lodge-field.html