連載【大型テントの設営/撤収のTips】Vol.3 修理編
みなさん、こんにちは! JACインストラクターの丹羽孝之です。
ゴールデンウィークは比較的天気にも恵まれてキャンプを楽しんだ方が多かったことと思います。中には残念ながらテントのポールを曲げてしまったり、幕体に穴を空けてしまったなんて方もいらっしゃるかもしれませんね、、、。でも、失敗を重ねてアウトドアスキルが上がっていくのです。ドンマイ!!
さて、Vol.3では、ogawa GRAND lodgeに持ち込まれるテント修理箇所のベスト3と、現地でのトラブルで役立つ応急処置についてご紹介しますね。
長期連休明けは、各店舗に持ち込まれる修理依頼も増える傾向があります。
目次
修理箇所のベスト3
オガワのGRAND lodgeなどに持ち込まれる修理依頼は、いくつかの定番パターンがあります。ここでは特に多い3つの修理箇所についてご紹介します。
①ポール曲がり、折損
修理依頼で圧倒的に多いのがポール修理です。感覚的には全体の80%くらいでしょうか、、、。連休明けや、悪天候の後には修理受付が賑わいます、、、。
設営時に適切な手順を踏まずに曲げてしまうケースが最も多く、次に設営/撤収の最中に強風に煽られて複数箇所が曲がったり折れたり、、、。
Vol.1の設営編をご覧になっていない方はぜひご覧になってくださいね。
なお、グラスファイバー製のポールは曲げに強いのですが、折れるととても危険です。極細の割けた繊維が刺さったりするので要注意です。
通常のジュラルミン系のポール修理は一節単位で曲がってしまった物だけ交換修理ができます。
②幕体修理 (穴空き、ランタンで溶かしてしまった、幕体の引き裂きなど)
次に多いのが、焚火の火の粉による穴空きや、オイルランタンを持って出入りした際に生地に触れて溶かしてしまったり、、。修理は同じ生地を使い、ヘリ折してミシンでパッチ当てします。縫い目にはちゃんとシームテープで防水処理もします。
オガワでは都内の修理部門で、テントを知り尽くしたベテランの職人さんが修理を担当しています。まさに職人技の仕上がりに、いつも感心してしまいます。
③生地の縫い目のシームテープの浮き/剥がれ
経年劣化によるシームテープの剥がれはいつかやってきます。ちゃんとメンテしていれば10年は使えている印象です。
“ちゃんとメンテしていれば”という部分を具体的に言うと、ズバリ、乾燥とその後の保管方法です。みなさん加水分解という言葉を聞いたことがあるのでは!? 未乾燥で湿度の高い状態で温度の高い場所などに密閉状態で保管していると、防水コーティングのベタつきやシームテープの浮きや剥がれが起こります。 テントのメンテナンスは何を置いても”乾燥” です。汚れ落としよりも乾燥が優先です。
新品購入後、保管状況にもよりますが、数年使ってシームテープが白く浮いてきた部分が確認されたら、手拭いや、バンダナなどを当て布にしてアイロンの中温で再圧着させます。それでもダメならば貼り替えになります。
正しい保管方法
- 完全に乾燥させてから保管する
- 直射日光を避け、風通しの良い場所で保管
- 湿度50%以下の環境が理想的
- 長期保管時は畳みじわを変える(半年に1回程度)
応急処置
それぞれの修理箇所について、現地で対処可能なテクニックをご紹介します。あくまで応急処置ですので、無理せずに “撤収” する判断も大事になってきます。
ポール曲がり、折損の応急処置
曲がり方の程度にもよりますが、現地で曲がりに気がついても修正はやめておきましょう。力の入れ具合によっては一気に折ってしまうリスクがあります。
折れてしまった場合は、割り箸や竹串を束ねて折れたポールの中に突っ込んで、さらに外側をぐるっと囲むように何本も添木にしてテープで巻き上げてみてください。細く仕上げたい場合は竹串がよろしいかと。それでもそこが折れてしまう場合は諦めですかね、、。
テントによっては一周り内径の大きい補修用のパイプが付属している製品もあります。これは、折れたポールを差し込んで、テープで巻いて使用します。
幕体の応急修理
ポリエステルとT/Cのそれぞれの生地でリペアシートが販売されています。ハサミでカットして貼り付けます。両面から貼り合わせると良いです。カットしてシートの角は丸めておきましょう。
メッシュスクリーンはとりあえずガムテープで凌ぎましょう。応急処置しておかないと、どんどん裂け目が広がってしまうこともあるので注意してくださいね!
シームテープの応急処置
部分的な縫い目からの雨漏りは薄い布で当て布をして、スプーンやフォークの柄を炎で炙って押さえつけ、再圧着を試みます。白く浮いている部分が透明になれば成功です。炙り加減の様子を見ながら何回かやってみてください。
ポリエステルの幕体裏側のコーティングがボロボロ剥がれるような状態だと諦めた方が良いです。しかし、このようなケースはそもそもキャンプに行く前に点検しておくべきですね、、、。
補修用のシームテープも各メーカーから販売されています。
反則技!?
連泊の場合、一晩凌げるようであればAmazonの翌日配送でキャンプ場にテントを届けてもらうという荒技があります 笑。 実際に私の知人がやりました。 意外と思い付かないですよね、、、。もしチャレンジする場合は必ず管理人さんと相談してからにしてくださいね!
【まとめ】
さて、Vol.3 修理編はいかがだったでしょうか?
できれば現地での応急修理なんてしたくはありませんね。 もしもの事を考えて修理用品を備えることも大事ですが、その場にあるもので工夫してピンチを乗り切るのもキャンプの楽しみと思えるようになりたいですね! 自分もそんな経験を積み重ねて今に至ります。 【大型テントの設営/撤収のTips】の連載は今回で終了となります。
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【参考】
ogawa直営店のGRAND lodgeではテントご購入のお客様に長年安心して使っていただくために下記サービスをご提供しています。
設営講習
設営/撤収の講習をマンツーマンで実施しています。店舗の展示用テントを使って1.5〜2時間かけてお客様に惜しみなくプロの技を伝授しています。リクエストがあれば張り綱のロープワークや、タープの小川張りも一緒に!! 間違いなく有料級の内容です。
修理サービス券
ご購入日から5年間、幕体の修理やポール修理(2回まで)を片道送料のご負担のみで対応しております。
筆者のYouTubeチャンネル: 【アウトドアなちゃんねる】
山小屋セルフビルド、キャンプ、岩魚釣り、山菜/きのこ採り、バイクツーリングなど還暦オヤジのアクティビティーを紹介しています。
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