じゃあ、わたしは「何もない」が一番好きだ~『女子キャンプ日記~11月号より』

2019年11月26日

先日、三重県いなべ市が開催するイベント「山女子フェスタ」にゲストとして参加させてもらったお話。この「山女子フェスタ」は開催5年目で、だいたい60名ほどの参加者になる。一泊二日の間に、お箸を作るワークショップや、いなべ特産のお茶を味わうワークショップ、初級と中級に分かれて山を登るなどそれぞれ希望したものに自由に参加ができる。わたしはそこで「キャンプ講座」としてじっくり2時間、キャンプ道具の揃え方から楽しみ方、ルールマナーなどのお話をさせてもらった。参加者さんは名古屋から、遠くて東京から来られる方もいた。

いなべはアウトドアの市としてキャンプや登山、サイクリングマップを作ったりなど力を入れている。自然と街の距離感も近いのがいい。キャンプ場からクルマで10分ほど走らせれば大きなスーパーがある。そういった点もアウトドアの町として浸透しやすいのかなって思う。

かくいうわたしも、もう10回ほどいなべに通っている。だいたい仕事が絡むことが多いけれどもせっかくだからと思って、ソロキャンプの翌日に日帰り登山に行ったり、自転車を折りたたまずに乗せることができる電車があると聞いて東京から自転車を持ってきて輪行を楽しんだりと遊んでいる。(一方近くにあるのに有名な伊勢神宮にはまだ行ったことがないのは反省している。)

話しは少し変わって、先日別のイベントに行ったときのこと。とある地方の方から、「(自分の地域)面白い施設とかは何もないんですよね。」とボソッと言っていたのに思わずつっこんでしまった。「いや、海も山もあるし海沿い走る電車だって素敵だったし、カヤックも登山も、サイクリングも楽しめるからわたしは何度でも行きたい場所だなと思いましたよ!」ちょうど東京から10時間かけてクルマを走らせて行ったばかりだったので、思わず力が入ってしまったのだ。海沿いを走りながら青空を映すようにキラキラ光る海と青々と茂る山を見て、「なんていい場所なんだぁ」と疲れもふっとぶ景色があった場所だった。日本はどこ行ってもおいしいし(東京が一番おいしくないしお金かかると思っている)、遊園地や大きな施設がなくても海や山がある。それを本当に心の底から何もないと、もしも感じてしまう人たちがいたらそれは人生にとって大きな損失だと思う。

人が建てたもの作ったもの以上に、美しいもの楽しいもの怖いものがそこにはたくさんあるから。子供のときだけじゃなく大人になっても周りに溢れる自然のパワーを感じられるようなそんな人生の過ごし方がいい。

つまり何が言いたいかっていうのは、自然が遊園地よりも楽しいって気づかせてくれたキャンプってなかなかいい遊びだと思うんだ。

 


コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター

(オートキャンプ 2019年11月号 こいしゆうかの『女子キャンプ日記』より転載)
無断転載禁止 執筆者の許可を得て転載しているものです。


『女子キャンプ日記』バックナンバー

ソロキャンプ練習会in宮田村『女子キャンプ日記~10月号より』
キャンプ場閉鎖とキャンプブームに思うこと~『女子キャンプ日記~9月号より』
とある梅雨の日のキャンプ~『女子キャンプ日記~8月号より』
地域活性のハブを担う 新世代キャンプ場『キャンプの作法~7月号より』
自然と人との心の因果関係『女子キャンプ日記~6月号より』
地酒とキャンプのマリアージュ『女子キャンプ日記~5月号より』
昨今のキャンプブームはキャンプをする人にとって幸せなのか『女子キャンプ日記~4月号より』