子どもにキャンプを 楽しんでもらうために『キャンプの作法~1月号より』

2020年1月19日

新年あけましておめでとうございます。
今年最初の連載は昨今の子どもの事情について考えてみたいと思います。
最近、キャンプに出かけていながら、楽しめていない子どもが多いという話をアウトドア関係者から聞くことがあるのです。多くの子どもはキャンプ場にきたら、普段は味わえない環境を楽しんでいるでしょうけれど、楽しめていない子が増えているそう。キャンプ場にいるにもかかわらず、スマホや携帯ゲームに夢中で自宅と同じように過ごしてしまうというのが現代の問題点です。子どもにしてみれば、キャンプが好きでもないのに親に連れてこられたという感覚なのかもしれません。大人だって歩きスマホを止められない人が少なくないのですから、子どもがデジタル機器を手放せないのも無理はないと思います。

そうした子どもに少しでもキャンプに関心を持ってもらうために、普段から自然にまつわる児童文学に触れる機会を設けてみてはいかがでしょうか。
たとえば『ファーブル昆虫記』、『シートン動物記』などは自然にまつわる代表的な名作です。編集部の方と打ち合わせをしていると、椋鳩十(むくはとじゅう/動物文学で知られる日本の作家)、『ロビンソン漂流記』や『十五少年漂流記』を筆頭とする漂流記ものも上がりました。ほかには『トム・ソーヤの冒険』にも洞窟探検の描写などが見られます。昔は図書館がもっと身近な存在だったし、自然や冒険をテーマにした児童文学が子ども向けのアニメになって放送されていました。本に興味がなければ、アニメや映画になったものを見るのも効果があるでしょう。

『ロビンソン漂流記』の挿絵(1896年発行版)。この小説はダニエル・デフォーによって書かれたもので1719年に刊行。無人島に漂着したロビンソン・クルーソーの生活を描いています。大英図書館所蔵。
スティーブンソンによって書かれた『宝島』も冒険小説としては非常に有名です。こちらは1897年発行版の挿絵。大英図書館所蔵。

キャンプに興味のない子に積極的になってもらうには、普段から、そうした要素へ誘導し関心を高めるきっかけ作りをしておくことが必要です。もし、普段のコミュニケーションがうまくいかないのであれば、自然を生かしたワークショップを設けているキャンプ場へ行って、親子で共通の体験をするなんて手もあります。「ゲームばかりして!」と怒るのではなく、キャンプに関心をもってもらえるきっかけ作りに目を向ければ、子どもの意識も変えられるのではないでしょうか。


コラムニスト紹介:ビューティフルキャンピング(ペンネーム&活動名)

ファッション誌、ファッション広告を中心に編集・執筆を行う。2011年春から、キャンプ空間をスタイリッシュに演出する楽しみ方「ビューティフルキャンピング」を広めようと活動中。

http://beautifulcamping.net/

https://www.facebook.com/BeautifulCamping

(オートキャンプ 2020年1月号 『キャンプの作法』より転載)
無断転載禁止 執筆者の許可を得て転載しているものです。


『キャンプの作法』過去のコラム

キャンプにおける 大人と子どもの関係『キャンプの作法~12月号より』
アウトドアと防災を 考える『キャンプの作法~11月号より』