キャンプにおける 大人と子どもの関係『キャンプの作法~12月号より』

2019年12月13日

この数年、キャンプ人気が高まっているのはご存知の通りです。その要因の一つとなっているのが、かつてのオートキャンプブーム時代(ピークは1990年代中盤)に子どもだった世代が、自分たちでキャンプを始めるようになったことと聞きます。その世代のキャンパーのなかにはキャンプ体験が子どもの情操教育に良いと考える方も少なくないでしょう。

(写真はイメージです)

その一方でキャンプの経験がなくても、家族みんなで楽しめるからと、キャンプにチャレンジする人もたくさんいます。キャンプが盛り上がるのはいいことではありますが、業界関係者に聞くと、ブームとともにマナーの悪化が著しいとの声も……。その一例がグループキャンプ。もちろん、マナーを守ってグループで楽しんでいる方は大勢いらっしゃるけれど、残念ながらそうではないケースも見聞きします。いくつもの家族が集まることで、集団が大人と子どものグループに分断されてしまい、結果的に子どもがほったらかしになりほかの利用者に迷惑をかけてしまうのだとか。

一般にキャンプは子どもの情操教育に良いと言われています。しかし、それは大人が子どもと適切に接していればこその話。家族でキャンプ場に行きさえすれば、やみくもに教育にいいわけではないのです。また、単独家族のキャンプにおいても親と子の諍いをよく目にします。多いのは設営や撤収を手伝わないことに親が怒って、叱られた子どもが泣き叫んでしまうケース。親の立場からすれば、手伝いをさせることで、責任感や協調性を持たせたいといった考えがあるのだと思います。
しかし、普段の親と子の関係性のなかに、そうしたコミュニケーションがあるかどうかが問題です。

子どもの情操教育はキャンプ場の環境だけに任せずに、大人が子どもと適切に関わることで、よりよいものになるはずです。(写真はイメージです)

普段は手伝いなど言われないのに、唐突にキャンプ場で「あれをしろ」、「これをしろ」と命じられても、子どもには親の意図が理解できないのではないでしょうか。せめてキャンプに行く前から余裕をもって、現地で何をするのか時間をかけて説明をしてあげてほしいと思います。子どもに手伝ってもらう内容や、手伝いによって家族のキャンプが成立すると事前に理解の場を与えれば、子どもの感じ方や意欲も変わるはずです。意味も分からず言われたことをこなすのと、自分の役割を理解したうえで家族のために手伝いをがんばるのとでは大違い。
次に家族でキャンプに行くときは、前もって親と子のコミュニケーションについて考えてみてはいかがでしょうか。


コラムニスト紹介:ビューティフルキャンピング(ペンネーム&活動名)

ファッション誌、ファッション広告を中心に編集・執筆を行う。2011年春から、キャンプ空間をスタイリッシュに演出する楽しみ方「ビューティフルキャンピング」を広めようと活動中。

http://beautifulcamping.net/

https://www.facebook.com/BeautifulCamping

(オートキャンプ 2019年12月号 『キャンプの作法』より転載)
無断転載禁止 執筆者の許可を得て転載しているものです。


『キャンプの作法』過去のコラム

アウトドアと防災を 考える『キャンプの作法~11月号より』