ハードなのか、ソフトなのか~『女子キャンプ日記~5月配信号より』

2020年5月10日

 キャンプ道具が立ち並ぶ雑誌を読んだ。キャンプを愛する人たちのこだわりギアみたいな特集だった。色の統一さ、ヴィンテージもの、最新のギア、様々なものを見るのは楽しい。わたしの道具は1つ1つこだわりがここまであるだろうか。もちろん使い勝手のいいもの、自分のスタイルに合うものなどは本当に気に入っているし、多少なりともこだわりはある。見た目だってバランスが整うように自然とモノを選んでいる。新しい焚き火台が届いたときはワクワクするし、それを使ってあーだこーだ考えたり話たりするのも楽しい。おおよそキャンプをはじめたばかりのころは、キャンプ道具目新しさにキャンプに行くたびにワクワクしていた。今はだいたい使うお気に入りのセットが決まって、時々新しいものを追加する程度だ。

キャンプの楽しさは、単なるオートキャンプだけではない。山登りのベースキャンプの場合もあるし、旅の延長にあるようなバックパック1つで行くキャンプや、パッククラフトで川下りをするキャンプスタイルもある。それに応じて道具を変える必要があるときに買い足すことが多い。つまり遊び(ソフト)に合わせて道具(ハード)を変える。遊びが変わったことで追加されたハードたちを使うのは楽しい。

 

パッククラフトキャンプだったら、バックパックは防水のものがいいし、他の道具も軽くかつ水に強いものを選ぶ。山でのテント泊は軽さだけではなく、テン場での快適性も欲しいところだ。チタンのほうが軽いのはわかっているけど、あえてアルミのクッカーを買う。そのほうが調理がしやすいからだ。蓋だけはチタンにしてみる。限られた重量のなかで作る山ごはんはいつもよりもぐっとおいしく感じるのだ。イメージ通りにそれらの道具を使いこなし、遊びが快適になるのは快感にも思える。

道具を愛でるキャンプもいい、でもその道具に縛られてしまうことがもしもあるとしたら、それは本質ではないように思う。自然のなかで遊ぶためのもので、ときには命を守る道具たち。

時には、道具のおしゃれさやめずらしさ、そんなものは全て文明に置いてしまってもいいんじゃないだろうか。
ただその森や川や海を体全体で味わうためだけにある愛すべき道具たちと一緒に旅に出たほうが、単純にかっこよくない?なんて思ったりもする。

 


コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター

無断転載禁止 執筆者の許可を得て転載しているものです。


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