このところ、「サステナブル」なるキーワードをよく耳にします。「サステナブル(sustainable)」とは、持続可能の意味。人によって解釈の誤差はあるものの、一般的には「後先を考えない生産、消費の見直し」、「環境問題に配慮しながら、よりよい社会を目指す取り組み(リサイクルや海洋ゴミ対策など)」といったニュアンスで使われています。実感としてはエコと同様の感覚で理解している方が多いでしょうか。ただし、8~9年ほど前から、流行していたキーワード「エシカル(倫理的な)」の要素も加味されているように感じます。ファーフリー(毛皮不使用)、残酷な方法で加工した食材(フォアグラなど)の提供の中止など動物愛護についても、サステナブルの一部として語られているのは、その一例です。
自然と密接なアウトドア業界では、古くから環境問題に取り組んでいる企業が多いのはご存じの通り。しかし、いまではファッション業界にも「サステナブル」を掲げる企業が続々と現れています。今春、日本に上陸したスペインの「エコアルフ」は2009年設立で、ファッション界では古参といえるサステナブルなブランド。こちらはリサイクル素材や環境負荷の低い素材・副資材のみにより作られた衣服や雑貨を製造・販売しています。リサイクル素材は漁網やコーヒー、ペットボトル、コットン、ウール、タイヤなどの廃棄物を原料に開発。2015年にエコアルフ財団を設立し、スペインで海洋プラスチックゴミを回収・分別・再生し、製品化するプロジェクト「アップサイクリング・ジ・オーシャンズ」をスタートさせました。漁師・漁業組合の協力を得て、彼らが意図せず釣り上げたプラスチックゴミを回収し、分別・再生して繊維に変え、衣服として販売するのです。その後、エコアルフの海洋プラスチックの回収はタイにも活動を広げたほか、日本でも今後、回収・分別・再生による製品化を目指すとのこと。
環境に対する考え方は人それぞれで、すべての人が同じように問題意識を持つことは難しいかもしれません。しかし、好むと好まざるにかかわらず、いまがそうした時代であることは理解しておく必要があります。すでにアウトドアメーカーでも素材が適正なルートで調達されたものか? また、素材の製造過程で環境に悪影響を及ぼす化学薬品を使用していないか? などに配慮している企業がいくつもあります。今後、サステナブルについては消費者と企業、どちらの意識が先に成熟するのでしょうか。これからを見守りたいと思います。
コラムニスト紹介:ビューティフルキャンピング(ペンネーム&活動名)
ファッション誌、ファッション広告を中心に編集・執筆を行う。2011年春から、キャンプ空間をスタイリッシュに演出する楽しみ方「ビューティフルキャンピング」を広めようと活動中。
https://www.facebook.com/BeautifulCamping
(オートキャンプ 2020年3月号 『キャンプの作法』より転載)
無断転載禁止 執筆者の許可を得て転載しているものです。
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