「異常気象に負けないぞ! 」 トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』2月号より

2020年2月13日

日本有数の豪雪地帯、白川郷。そのなかでも、自然學校がある馬狩地区は標高が高く、特に積雪量が多いと言われています。過去 10 年 間 を振り返って みて も、最大積雪量は一番少ない年で 150cm 、一番多い年で 382cm 、平均 246cm 。しかし、今年はどうでしょうか・・・ 。
この 10 年間、ほとんどの年で 1 月下旬の大寒までに最大積雪量を記録しているのですが、今年は 1 月下旬までの最大積雪量はなんと 24cm 。 まさかこのまま積もらないなんてことがあるのでしょうか。 子 どもの頃から馬狩地区に縁のある今年 70 歳になる方に聞いてみましたが、今の時期に、この地区でこんなにも雪がないのは初めてだとおっしゃっていました。冬の 売りとして 「 雪」を位置づけている自然學校としては、この雪不足は大変痛手となっています。

実は、昨年3 月下旬に催行した「春休みスノーキャンプ」という、雪をメインにした子どもキャンプ も、昨年の少ない 積雪状況 が影響してか、 満員御礼とはいきませんでした。今年はその反省も踏まえ、「雪」に頼りすぎない子どもキャンプ を 企画しました。その名も「雪を溶かせ!ファイヤーキャンプ! 」。皆さん、どうでしょうか? このキャンプでは最終日までに全員がマッチ 1 本で火をおこせるようになることをめざし てい ます。また、その火を活かした アウトドアランチやキャンプファイヤーなど、様々なことにも挑戦。「 できた!」を増やすことで、何事にも全力で取り組むことの良さを知っていただき 、心にも火を灯すような熱く盛り上がる 3 日間にしたいと考えています 。

2019年1月下旬
2020年1月下旬

「人間とは、火を使う動物である」と聞いたことがあります。煮炊きのため、暖をとるため、物を加工するため、信仰のため。このように能動的に火を扱う動物は私たち人類の他には存在しないと言われています。この春、火を扱い、人間本来の感覚を 呼び戻す機会を子どもたちに体験させてみて はいかがでしょうか。

地球規模でスーパー台風の発生や豪雨など異常気象が頻発している昨今ですが、そういった急激な変化にも負けないで、 主体性を持って 前向きに生きていける人を、子どもキャンプを通して、育てていきたいと私は 考えております 。また、私自身も そうありたいと 願って 、日々活動しています。


<インタープリタープロフィール>

黒坂真(くろさか・しん)
神奈川県出身。白川村に移り住んでから今年で 15 年目。白川村の豊かな自然や、魅力あふれる人々に惹かれ、子どもを授かったことをキッカケに、 6 年前に村内にある築 60 年古民家を購入。畑を耕したり、庭の手入れなど、我が子と共に 自然に寄り添う 暮らしを楽しんでいる。

(オートキャンプ 2020年2月号より転載)
無断転載禁止 執筆者の許可を得て転載しているものです。


トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』バックナンバー

「雪上ランチのすゝめ」トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』12月号より
「“言葉”の秋」トヨタ白川郷自然學校『インタープリター通信』10月号より