今年は、北は北海道、南は奄美大島と真逆のキャンプに行ってきた。
日本という土地は面白い。
1つの国なのに、片方はフィンランドを思わせて、もう片方はアマゾンかと思うくらい面白い植物たちに出会える。
今年はコロナのせいもあって、なかなか海外に行けない。
しかし、ここ数年「世界の自然とキャンプ」を知るために海外キャンプに行って来たわたしにとって、日本の自然を改めて見直すことができる機会となった。
そして改めてこんなに自然が豊富で、
バランスのとれた島国はなかなかないんじゃないかと思った。
・奄美大島の自然と野生動物
奄美大島で、ナイトツアーに参加した。
奄美でしか見れない「アマミノクロウサギ」を主に見れるツアーだ。
うさぎどころか蛇もカエルも飛ぶのが下手な鳥も顔を出してくれ、とても面白かったのだが、植物もすごい。
こぶし大くらいの大きさのタネがある枝豆のようなものが当たり前のように顔をだし、
「恐竜時代に間違ってやってきちゃったのか?」
と思うくらいの大きな葉のシダ植物があったり、さすが亜熱帯の森だ。
キャンプ場は、海が眺められてかつ安値で泊まれるとこや、施設内にカフェがありご飯も食べられて、レンタルも全てある手ぶらでキャンプができるような場所もある。(最近では沖縄本当でも多くのグランピング施設が作られているそうだ。)
・迷ったのは、焚き火台だ。持って行くかどうか。
今回の装備は、飛行機キャンプスタイル。、バックパックには、ミニマムなキャンプ道具たちとコンパクトに持ち運べるソフトクーラーを機内持ち込みにしてみた。
迷ったのは、焚き火台だ。持って行くかどうか。
年中暖かい気候な亜熱帯地域でキャンプをするのに、わざわざ焚き火をする必要はないんじゃないか?そんな風に思った。
北海道旅は、夕方になれば寒くなり焚き火のありがたさが増す。
今年はパッククラフトで川を下ったり、湖で遊んだから余計に焚き火が身にしみた。
(暖をとりつつ北海道のおいしいじゃがいもをアルミホイルに巻いてバターで焼くのもおいしい。)
亜熱帯地域での焚き火が必要とする場面は何が理想的か、と考えた。
「シーカヤックをして、冷えた体を暖ためるために焚き火をつける」
そんな絵が、ふと頭によぎった。
あぁ、そうか。冒険が足りていなかったのだ。
北海道の森は、静かで鳥たちが美しい。虫も少なく、静寂がそこにある。
クマがいるのが少しこわいけど、場所によるから事前に調べて行けば山にも登れる。
一方、南の島にはハブもいるし、場所によっては触るだけで危険な植物や昆虫がダイナミックにいる。考えただけで南の島の冒険を加えたキャンプは少しこわいのだ。
だってジュラシックパークだもん。そしてわたしはチキンだし。
・島国での忘れられない焚き火
そういえば、亜熱帯地域で、一度だけ忘れられない焚き火をした記憶がある。
あれはわたしの中での冒険だった。
人口40人ほどの、日本の秘境と呼ばれる「小宝島」での海岸のキャンプだ。
役場の人に聞いたら、トイレだけある海辺で勝手にキャンプをしていいと言われた。
その日は暖かかったけど風が強かった。
あまりにも強くてトイレに避難したが体が冷えてしまってたまらなかった。
島には1つも売店も食堂さえもない。
「とんでもないところだ。なんで私は一人でここに来たのだろう。」
少しだけ後悔をしていると、風が止んできた。
暖をとるため、慌てて浜辺に落ちている流木を拾って焚き火をつけた。
お腹もペコペコだったので、その焚き火でパスタを茹でた。
五徳なんてないから薪をうまく使ってみる。
茹でたパスタをアンチョビソースとからめて食べる。
「おいしい!」
普段料理をしないわたしには奇跡的なおいしいパスタができた。
ふと見上げるとそこにはものすごく早く流れるオレンジ色に輝く雲があり、
前を見るといつのまにか海は黄金色に染まっていた。
いつのまにか孤独からくる後悔はいつのまにか消え、
そこにはわたしだけの夕焼けがあった。
よく考えたら、見知らぬ土地で、ただ強風に吹かれて、弱って焚き火をしたというお話なんだけども、
あの頃のわたしにとっては大冒険だ。
また、あの焚き火がしたい。
次に南の島にキャンプに行くときは、また自分なりの冒険を加えてみようと思う。
コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター
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