「旅とキャンプとご飯と地酒(その3)」
旅の後半。
奈良での仕事を済ませて、もう一泊三重県でキャンプができることになった。
憧れの熊野に向かう。
日本最古の神社へ
日本最古の神社と言われている「花窟神社」
平成16年7月に花の窟を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録された場所。
この鳥居の先を歩くと、神社というイメージと違うものがあった。
大きな岩壁に不思議な形をした穴を祭るように大縄がはりめぐされている不思議な神社。
遠くから見ると、このように大きな岩山となっていて、
大綱は岩窟上45メートル程の高さの御神体から
境内南隅の松の御神木にわたされているのだとか。
不思議なパワーを感じる場所だった。
熊野市は海と山に囲まれた豊かな土地だった。
海沿いをずっと車で走らせながら、この街に住む人の暮らしを想像した。
ここの場所に住んでみたらどうだろう、とふとも思う。
そのまま、仲間たちと次のキャンプ場に向かう。
滝とサウナのキャンプへ
「飛雪の滝キャンプ場」に到着。
管理人さんが歓迎してくれた。
SNSでわたしが三重県にいることを知っていて、来ないかなと思っていてくれていたらしい。
ちょっと気恥ずかしいが、ありがたい。
ここのキャンプ場の最大の特徴は、
・滝を見ながらキャンプができる
・テントサウナに入って、滝壺という水風呂に入れる
という、全国でもめずらしい体験ができるキャンプ場だ。
なんと夜には、滝のライトアップまでしてくれる。
サウナと水風呂ですっかり整い、三重県最後の夜の宴がはじまる。
最後はご当地料理ではなく、イベントで余った大量のキャベツを使ってお好み焼きを楽しんだ。
冬だというのに、サウナのおかげか体はあたたまっていて、
すぐにお酒が体をめぐっていくのを感じた。
翌日は、帰宅。
東京まではクルマで7時間以上かかるため、一旦途中で宿泊をはさむことにした。
しかし、熊野をもう少し堪能したい。
必死にクルマや道の駅で調べた結果、
わたしたちは長年憧れていたあの場所へ向かうことにした。
時が止まる熊野古道を歩く
熊野古道は、断片的に何箇所にも分かれてある。
近くに2時間ほどで歩ける場所を見つけた。
スタート地点である海の街にクルマを止めて出発した。
二木島から、新鹿町をつなぐ古道だ。電車にして1駅分。
スタート地点は民家が立ち並ぶ小さな階段からはじまる。
町と山の近さに驚く。
少しばかり歩くと、すぐ森になる。
苔むした石畳、ずっと思い描いていた熊野古道をわたしは歩いている。
そう思うと、心が少しドキドキしてくる。
歩き進めると町の音も聞こえなくなっていく
誰もおらず、静かだった。
まるでここだけ時が止まっているかのようだ。
もしくはこの道を歩いていたら、
いつのまにか遠い過去へタイムスリップしてしまうんじゃないかと思うほど、
静かでしかし自然の大きなどっしりとした力を感じる。
この古道が使われなくなり、
わたしたちが文明を築きあげていく一方、
木々たちは静かにただここで生きてきたのだ。
長期間キャンプ旅をするときは、わたしの中で3つのルールを作っている。
・現地の食材、酒を楽しむ
・観光をする、もしくは町を散歩をする
・山を歩く、自然のある場所に行く
町を知るだけでなく、近くの自然を見るのだ。
そうする旅に、広がりが出る。
町から自然から食から、いろんな視点でその土地を知れる気がするから。
アウトドアをやっていてよかったと思う。ただの旅行が、旅に生まれ変わる。
執着地点が見えてきた。また、海の町に戻る。
砂浜がきれいな場所だ。
電車まではまだ時間があるから、少し砂浜を歩くことにした。
夏はここでキャンプもできるみたいだ。
冬の海は静かで好きだ。小一時間ほど、スケッチをしたり町を散歩したりした。
ほんの少ししか滞在できなかったけれども、
熊野古道でつながる新鹿町がとてもお気に入りの町の1つとなった。
だって、この場所には海も森もある。
町を抜けて、駅を目指す。
車で行った先で電車に乗れるなんて贅沢だなと思う。
さよなら、三重県
いい旅をありがとう。
<行った場所>
飛雪の滝キャンプ場
花の窟
https://hananoiwaya.com/hananoiwaya/iwaya_index.html
熊野古道
https://www.hongu.jp/kumanokodo/
<一部写真撮影>
関根千種
https://www.instagram.com/chigu23/
コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター
無断転載禁止
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