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昨今少しブームとなっているソロキャンプ。
時々、インタビューなどで聞かれるその魅力を考えた。
しかしそれを一言で表すのは難しい。
自由に自分の行きたい場所食べたいものを決められること?
自然をまるで独り占めできること?
キャンプ道具や焚き火や自然とじっくり向き合えること?
もしくは自分に向き合える時間、
どれも正解なように思えるし、それだけでもないとも思える。
ソロキャンプをなぜはじめたのか
時々、
「一人でキャンプを行くのは寂しくないのか」と聞かれる。
たしかに、何週間も一人キャンプをしていると、ふと人寂しくなったりもする。だからこそ道ゆく人にふらっと声をかけたりするのかもしれない。少しだけ笑顔で優しくなれるようにも思える。
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わたしがなんでソロキャンプをするようになったのか。
10年ほど前、SNSで知り合った友人と個食個泊(今でいうソログルキャンプ)スタイルのキャンプに夢中になり、
毎週のようにキャンプに行っていたときに、
幾度となく失敗を繰り返し(それはキャンプにおけることだけじゃなく人間関係においても)
少し自分に嫌気がさしていたときだったように思う。
「一人で旅をしなきゃだめだ」
ふとそんなことを思った。以前からずっと一人旅というものに憧れていた。ただそれは普通に宿に泊まり観光地に行くことではない。
わたしだけの旅をしたい気持ちがつよかった。
キャンプはそれを叶えてくれるものだと確信をし、
一人旅をキャンプですることにしたのだ。
一番最初は真冬の千葉県。千葉なのに氷点下をこえる気温になり、装備がまだ怪しかった自分にとっては散々な結果になった。
凍えながら朝日が上がるのを待つ、今までで一番つらいキャンプとなった。
しかし、なぜか自信がついたわたしは2度目のソロキャンプにて旅を実行することを決めた。
自転車を借りてバックパックにキャンプ道具を詰め込んでフェリーで北海道へ。
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輪行なんてしたこともないのに、今思えばとても無謀だったように思う。
なぜか白地図を買ってしまい、現地に着いたらライダーの人に「ツーリングマップを買いなさい」とアドバイスをもらい、
北海道に着いて最初に向かったのは大型デパートの本屋だったのが今に思えば恥ずかしい思い出だ。
稚内を目指し、利尻島、礼文島を自転車で駆け巡り、いろんな旅人に出会った。
稚内から道東に向かうべく、毎日自転車を100km漕いでキャンプをしながら走り続けたけれども四日目にしてなんだかもういいかなと思い、そのまま電車に乗り込み札幌へと向かった。
帰りのことはよく覚えていないけれども、とても綺麗な札幌の街並みに対して、薄汚れた格好が恥ずかしくて、慌ててユニクロに洋服を買いにいったのを覚えている。
わたしにとってのソロキャンプとは
キャンプ旅は、冒険だ。
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街と少しの自然を行き来する本当にちょっとした冒険。
天気がいいからふと山に登ろうと登る。
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自転車で走り回るときもある、
観光する日もあり、ちょっとワイルドな温泉を探す日もあったり、
ただ地元のおいしいワインを飲みながらキャンプをすることもある。
どれもどこの旅行情報サイトに載っていない自分だけの自分のための冒険なのだ。
今でも時間を見つけては、北海道や九州なんかを自分のクルマでぐるぐる回っている。
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8割キャンプで、あとは仕事もしながらなので宿にも泊まる。
旅をするとあまりにも忙しくて、キャンプをゆっくりできる日は本当に少し。
でもそれが、わたしのソロキャンプスタイルだ。
日常をちょっとはずれる自分だけの冒険、
そのワクワクがたまらなく思う。
コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター
無断転載禁止
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