先日、長野県戸隠に野鳥観察をしにキャンプに行ってきた。
野鳥の写真集を出版しているカメラマンの中村利和さんに教えてもらう形で友人と一緒に参加させてもらった。
戸隠には大好きなキャンプ場の1つがあって、毎年一回は行く場所だ。
朝、まるで森のなかにスピーカーでも隠されているんじゃないか、と思ってしまうくらいのたくさんの鳥たちの声で目覚めることができる。
山と森に囲まれている場所のせいなのか、鳥の声が反響しているのだ。
昨年くらいから、鳥に興味がわいて双眼鏡を買って図鑑を買った。
1つの鳥の声を覚え、名前を覚えると、
いつもと同じ場所でのキャンプもまた少し違った目線で楽しめる。
「あ、シジュウカラだ。」
とふと見てわかる。鳥の声を聞いて「あれはアカゲラかなぁ」なんて思う。
鳥の声がわかると、自然のなかにまた1つ、居場所ができたような、
鳥の名前と姿が一致すると、まるで一人の友人ができたようなそんな気持ちになれることを知った。
キャンプ場から少し離れた場所を歩く、時々鳥の声がしてその方向を見る。
鳥のいる位置はその鳥の生態を知ることでわかることがある。
土のなかの虫を食べる鳥は地面を歩いている可能性があるし、
木の実を好む鳥は実がなっているところによくいる。
そんな感じで、生態を知りながら鳥を探し出すのだ。
まるでポケットモンスターの世界のようだ。
ゲットできるわけではないから、
一生懸命持ってる双眼鏡に収めるしかないのだけれども。
先生のスコープを借りて、スマホで撮るなんてこともでき、それは少しポケモンをゲットしたような気持ちに近く感じた。
野鳥観察はひたすら歩く、耳を済ませて、目をこらしてよく観察する。
先生が「木の枝にちょっと不自然なところがあった」と言って鳥がいることもあった。
森には本当に多くの鳥たちがひそんでいた。
わたしたちがぼんやりと過ごしていたキャンプの時間と空間に、
たくさんの動物たちがひっそり(時には声をだして)存在していたのだ。
野鳥観察とキャンプはすこぶる相性がいい。
必要な道具はたった1つの双眼鏡でいい。
もし余裕があれば、野鳥図鑑なんかもあればいい。
近くにいる鳥を見つけて双眼鏡でのぞきこんで見れば、
いつもと違った視点で森を楽しむことができるから。
キャンプサイトに戻ると、信じられないくらい近くの木にアカゲラがきた。
日が落ちて少しだけ暗かったせいなのか、静かに過ごしていたからか、わたしたちの存在に気づいていなかったようだ。
野鳥図鑑と睨めっこしてもちっとも覚えられなかった鳥たちが、
その日だけでも10種類以上覚えることができた。
一部の鳥はあるルール(文法)にのっとって会話をしているらしい。
人間と自然を近づけてくれるたくさんの鳥たち。
いつかそんな鳥たちの会話に少しでも加わることができたらいいなぁなんて
少しロマンチックなことを思ってしまった。
コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター
無断転載禁止
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