わたしが”女子キャンプ”と名付けてブログにしたり、オフ会や教室を開いたりしている
けれども、それはかわいいスタイルのススメでもなく、女子会のようなキャンプをやろう
でもなく、結局は「女性でも、一人の力でもテントは設営できるし、焚き火もできるし、
キャンプできるよ!」っていうことを伝えたくはじめたこと。
(2013年1月 「女子キャンプ」と名付けた、本当の意味から引用)
「女子キャンプ」という名前をつけて、SNSやブログで発信したのが2009年のこと。その数年後にオートキャンプ協会さんに声をかけていただきこのコラムをはじめてちょうど10年になる。
冒頭に引用した自分が10年前に書いた原稿は拙く、まるで学生気分が抜けないような文章だ。でも、わたしがずっと伝えたかったものは10年前から何1つとして変わってないなと思う。
10年以上前のキャンプは、女子はおろか、全体が静まり返っていた。
今は人気すぎてなかなか行けないキャンプ場でさえも、季節をさえはずしてしまえばガラガラなんてこともよくあった。
キャンプギアを売るショップ自体も少なく、行ったとしてもキャンプ道具も少ない、ネットで物を買うこともあまり十分にない時代。
そんなときにわたしはキャンプに出会って、その世界のとりこになった。
はじめてのキャンプは2006年頃、連れて行ってもらった奥日光のキャンプ場は夜になると夏でもとても涼しく、テントで寝る怖さよりも、焚き火の暖かさや、星の近さなんかにとても驚き、興奮したのを今でも覚えている。
自然のなかでただご飯を食べて、お酒を飲み、ぼーっと焚き火を見る。たったそれだけの1泊2日が、わたしを自由にしてくれた。
その後、数回ほどキャンプに行くと、自分の道具が欲しくなった。
同時に、大学生の頃からインターネットの世界に興味がありHTMLを自分で組んでブログを作ったりしていたこともあって、
どうせなら自分のキャンプの思い出をブログに書き残そうと思った。
(タイトルもそっけない「camp memo」というものだった)
そのブログサービス自体、キャンプや釣りなどをする趣味のブログ専用のものだったので、
他の人のブログなどをよく読みにいき、
自分が欲しいキャンプ道具についてそこで学んだり、自分のブログで発信をして教えてもらったりしていた。
だんだんとブログ配信者同士で繋がりが生まれていく世界もそこで知った。
キャンプ道具を買うことはとても悩んだ。わたしがやりたいスタイルはあまり世間一般的には認知されていないものだったから、買えるもの自体の選択肢も少ないなか、毎日キャンプ道具のことばかり考えていた。 絵の教室に通いながら真剣にテントのことばかり考えて、あれほど夢中になったことはないかもしれない。今思い返しても少し笑ってしまう。
ある程度自分の道具を買い揃えると
男性のソロキャンプ集団がオフ会を開いていることを知り、そこに参加をしてみた。
ソロキャンプ同士のキャンプは気が楽だった。自分が食べたいものを食べて、ただ一緒に焚き火を囲んで、まったく知らない人たちのなかだったけども、キャンプという一個の趣味の話題であっというまに時間が過ぎた。多少距離を置いた感じが心地よかった。
そのとき、ふと、思いついた。
女性同士ソロキャンプスタイルで、こんなふうに距離を起きながら、自立しあいながら、焚き火を囲めたらどんなに楽しいだろうって。
どこか窮屈なグループキャンプではなく、誰に頼るわけでもない、一人一人が自由を持って話し合える仲間がもっと増えればいいなぁ、なんてことを思った。
調べてみると、「女性」が自立した「キャンプ」を提唱している人はいなく、そもそも女性で「ソロキャンプ」を発信している人もほとんどいなかった。(実際はいたのかもしれないけど)
そこで、わたしはブログの名前を「女子キャンプ」にして、
その時はやっていた「mixi」で女子キャンプコミュニティーを開いた。
誰かに連れてってもらうキャンプじゃなくて
女性が自分でテントをたてて、ごはんを作り、自分のためのキャンプをしよう。
きっとそういう女性が増えたら、わたしもなんとなく楽になれると思ったのだ。
そうしてわたしは、「女子キャンプ」をかがけた発信者となった。
(後半につづく)
コラムニスト紹介:こいしゆうか
ゆるいエ ッセイマンガなどを得意とする女子キャ ンプコーディネーター/イラストレーター
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